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No.022 世界の美しい鳥とMONSTER〜KLAUS HAAPANIEMI 2013年04月01日 書籍 トラックバック:0コメント:2


前記事の続きになりますが、

頂いた本は、その他に二冊ありました。

一つは、




「世界の美しい鳥」





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スクリーンショット03


スクリーンショット01


スクリーンショット02-2


スクリーンショット05-2









この本の最後のあとがきに書いてある文章がとても興味深かったので、
少しかいつまんで記したいと思う。



日本やヨーロッパを含む温帯域には、アフリカや南米、東南アジアやオーストラリアに比べて、
派手な色調の鳥類は少なく、そのほとんどが地味な姿をしている。
それでも日本や西洋の絵師達は、鳥に魅了されその姿を描き続けてきた。
特に日本の絵師達は、その風景の中にかならずといっていいほど鳥を描いている。
また日本美術の伝統的な表現の一つである花鳥画においては、鳥は主役である。
ツルやワシを大きく描いた掛け軸や屏風絵は色彩に派手さななくても圧倒的な存在感のある鳥たちの姿を
絶妙な構図と筆致で表現している。
日本と比較すると、西欧の絵画にはあまり鳥が登場しない。
西洋の絵画で、例外的に鳥が登場するのは宗教画である。
たとえば、白いハトは神や精霊の象徴として登場し、
イエスや聖母マリアの頭上に輝きながら飛翔する姿がよく描かれている。
ヨーロッパで身近に見られる顔の赤い模様が特徴的なゴシキヒワもキリスト教との関係が深い。
磔刑時にイエスの頭に刺さった茨の冠の棘を抜いたため、その血を浴びて顔に赤い模様がついたとの伝説から
キリスト教では受難の象徴とされている。
そのため、幼子イエスや聖母マリアの傍らに描かれることが多い。
〜立教大学 大学院 理学研究科 上田恵介研究室 高橋雅雄




この様な分析結果を読むと、

いかに西欧の芸術が宗教(キリスト教)的観点から描かれているかがよく分かる。

対して、日本の絵師達がそういった宗教思想にとらわれることなく、

いかに想像力豊かに、自由に、ありのままの自然をうけいれ、愛でてきたがよく分かる。

それは、神道を信じて来た日本人が、仏教思想をも取り入れ、

現代に至っては、キリスト教の祝い事をも生活の中に取り入れてしまう、

柔軟さ、曖昧さを重ね合わせて考察するとまた面白い見方ができるかもしれない。













そして、もう一冊は、




「MONSTER〜KLAUS HAAPANIEMI」





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既に絶版となった本のようで、こちらは中古本になります。

クラウス・ハーパニエミは、以前このブログでも紹介したように(No.9 No.12

日本では、イッタラや伊勢丹のクリスマスディスプレイでお馴染みのアーティスト。

その世界観に魅せられて、以来大好きになったアーティストです。

彼が描く世界の中には鳥モチーフがとても多い!

鳥好きの私の贔屓目では決してないと思います。

それだけ、鳥はアーティストたちの創作意欲をかき立てる存在なのだと思います。



Klaus Haapaniemi

Klaus Haapaniemi - Illustration - Big Active
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No.021 The Bird in Art 2013年03月27日 書籍 トラックバック:0コメント:2


とっても素敵な本を頂いたのです。

「こんな本が欲しかった!」とずっと思っていた本。



「The Bird in Art」



タイトル通り、アートの中に描かれてきた鳥達、

その歴史を一堂にまとめた本です。



以下、Amazonの内容紹介より。

There has until now been no proper study of the bird in art,
despite our fascination with birds,
and despite the wealth of complex meanings associated with them in different cultures.
A number of pagan gods are linked with birds,
and dynasties and empires have adopted powerful birds as their symbols.
Birds feature in numerous creation myths,
and represent the human soul in many religions.
We can trace bird imagery from the cave paintings of the Paleolithic era to the present day,
and across all world cultures: there are painted, drawn, mosaic, sculpted, embroidered and ceramic birds,
and birds as marginal illuminations or the subject of meticulous ornithological studies.
This exquisite new book investigates the significance of the bird in 250 beautifully reproduced works of art,
both ancient and modern. Nine chapters - on such themes as the mythical bird,
the Eastern bird and the domestic bird - explore in detail a rich and rewarding collection of paintings,
prints, drawings and sculptures, creating a book that will enchant art lovers
and anyone interested in ornithology.


重要な意味を持っているにもかかわらず、今まで芸術と「鳥」に関する適切な研究はありませんでした。
多くの多神教の神々が「鳥」と関連を持ち、王朝や帝国のシンボルとして「鳥」が使われてきました。
「鳥」は多くの神話の中でも重要な役割を果たし、多くの宗教の中で人間の魂を表わしてきました。
この本を通して、旧石器時代から現代に至るまでの、世界的な文化の流れの中で、「鳥」を辿ることができます:
絵画や印刷物、図面や彫刻などの豊富で価値のあるコレクションより、
古代から現代までの250の美しく再生された芸術の中の「鳥」の重要性を研究し、
鳥類学に興味を持つ美術愛好家を魅惑する本になっています。





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この本の送り主は、

クリスマス〜バースデーに続いて、またもや・・・主人です(笑)

「鳥」に夢中になってから、贈り物というとなにかしら「鳥」に関連のあるものを選んでくれる。

「鳥」に関するモノだったらなんでもうれしくなってしまう私も単純ですがね。

この本、見応えがとってもあります。

ずっとながめているだけでもわくわくしてしまうのですが、

見る度に、その都度その都度、違った発見があるのです。

「鳥」とアートの関係にずっと興味を持ってきたわたしの興味はますますかき立てられ、

それを後ろから応援?(煽る?)ような主人のフォロー。

まだまだ「鳥」熱は冷めそうにありません。

ありがとう。素晴らしい本を。

No.020 DRAWN FROM PARADISE 2013年02月07日 書籍 トラックバック:0コメント:0



書籍「Drawn from Paradise」は、David Attenborough(デヴィッド・アッテンボロー)による

鳥類の中で最も優美で華麗、魅惑的な鳥、

「birds of paradise」(極楽鳥)の文化史が紐解かれた美しいヴィジュアル本です。

16世紀前半、極楽鳥がヨーロッパに紹介されるとたちまちの人々の心を捉え、

そのユニークな美しさから「birds from paradise」と名付けられました。

David Attenborough(デヴィッド・アッテンボロー)とErrol Fuller(エロール・フラー)は、

Jacques Barraband、William Hart、John Gould、Rubens、Breughel

といった著名な芸術家によって描かれた極楽鳥の美しい実例を挙げるユニークな試みで、

長年に渡って西洋の芸術品の中にモチーフとして描かれたこのミステリアスな鳥の文化史を紐解きます。

経験を積んだ鳥類学者はもちろん、自然・芸術に興味のある方も、

この世界で最も美しく最もミステリアスな鳥の物語にきっと魅了されることでしょう。


Drawn From Paradise: The Discovery, Art and Natural History of the Birds of Paradise
↑なか見!検索ができます。






本1




本5




本4




本3




本2






実はこの書籍、当ブログ(No.017)でも紹介した

クリスマスブックプレゼント(THE PARROTS & THE TOUCANS)に引き続き、

主人からのバースデーブックプレゼントでした。

この書籍を選んでくれたのは、ちょっと前に私がナショナルジオグラフィックのサイトで

DVD極楽鳥「魅惑の求愛ダンス」があまりにも素晴らしく、

熱く語っていたのを憶えていてくれてのことだと思います。

その後、この魅惑の鳥、極楽鳥熱がヒートアップして、

YouTubeや、ネットで調べ通していたのを横でちゃんとみていたのだと思います。

なんて粋な計らい!いつもほんとにありがとう!!!







No.007 ハンター 2012年12月12日 書籍 トラックバック:0コメント:0



今回は、ニュージーランドの児童文学「ハンター/ジョイ・カウリー」の紹介です。



マオリの奴隷少年ハンターには、見えないはずのものを見とおせるという、特別な能力があった。

主人たちとともに、フィヨルドランドの森で「幻の巨鳥モア」を追うなか、

ハンターは不思議な光景を見る。

青い目をしたフフ(白人)の少女が、月の光のように弱々しく・・・

その少女は、おそれおののいていた。

そして、スリリングで緊張感あふれる二つの世界の物語が始まります。



200年前(1805年当時):マオリの奴隷として育った少年ハンターと、

現代(2005年):マオリの血をひく少女ジョーダンの意識が、

彼女と弟2人を乗せた小型飛行機の墜落による遭難事故をきっかけにシンクロします。

1805年は明朝体、2005年はゴシック体の文字でそれぞれのドラマが交互に進行し、

遭難事故というショッキングな内容から、

子どもだけで大自然の中をいかに生き抜けるかというドラマに変わっていきます。

物語は、ニュージーランドの歴史やマオリの暮らし、独自の生態系など、

さまざまな事実に基づいて展開していきます。



今回のリレーキーワードは「幻の巨鳥モア」。

前記事「もうひとつの場所」の最初のページに出てくる絶滅した鳥です。

主人公のハンターが生きていた19世紀はじめごろは既にモアは絶滅していたと考えられていますが、

この物語の中では、最後の年老いたモアが一羽が生き残っていたという設定になっています。

その最後の一羽もあっけなくマオリの主人たちの手にかかってしまいますが、

その時のハンターの心の叫びが、せつなく、胸に響きます。



『この年老いた巨鳥モアは、自分の死が近いことを認識している。

森の神タネのもとで生きるものたちは、命について、人間よりはるかに多くのことを知っているのだ。

とくに自分の生命が尽きるときのことは、よくわかっている。』


『逃げろ、逃げろ!こんな死に方をしてはいけない。

山の中にもどって、自分の死を自分だけでむかえてくれ。』


『ここから去れ!自分らしく死ね。

人間におそわれ、血を流して死ぬのではなく、

おまえがそうしたいときに、自分で魂を解きはなつのだ。』



わずか数百年前まで、ニュージーランドに生息し、最強と言われた巨鳥モア。

人間が流入したことによって絶滅したモアの最期は、案外こんな感じだったのかもしれない・・・。



ハンター小


2006年「ニュージーランド・ポスト児童書及びヤングアダルト小説賞」年間最優秀図書賞受賞。




モア(Moa)〜Wikipediaより

ニュージーランドにかつて生息していた、ダチョウ目モア科に属する構成種の総称。
現在ではすべてが絶滅した。恐鳥とも言う。
哺乳類が生息していなかったニュージーランド島において、
6属10種以上に進化して独自の繁栄を遂げていた。
草食性で、天敵はハルパゴルニスワシ(ハーストイーグル)以外には存在していなかったが、
マオリ族のニュージーランドへの上陸後、生息地の森林の減少や乱獲により急速に生息数が減少した。
個体数激減の原因に、生息地への隕石の落下を指摘する説もある。
従来、最後の種は18世紀半ばまで生き残っていたと言われてきたが、
最近では16世紀以前にすべてが絶滅したとする見方が有力である。
最大の種では 3メートル近い体高に成長する最大の鳥類であった。
ダチョウやヒクイドリの様に脚力が発達し、飛ぶことはできない。





No.006 もうひとつの場所 2012年12月11日 書籍 トラックバック:0コメント:0



前記事で、サントリー愛鳥活動の紹介の中で、野生鳥類保護の話をしましたが、

今回は、時既に遅し、絶滅してしまった、絶滅危惧種の鳥、動植物、

その、絵本の紹介です。




もうひとつの場所 清川あさみ


地球でもっとも美しい、絶滅図鑑。

時空を越えて清川あさみが紡ぎだす、

かつてあったかもしれないもうひとつの場所 。

糸やビーズで織りなす、

動物、鳥、魚、恐竜、昆虫、草花・・・230種。

かつてどこかに生きていた、今もどこかに生きている、

強く儚い、動植物たちが集うファンタジア。





刺繍、ビーズで鳥、動植物を描く、絵本のような図鑑。

物語ではなく現実の話。

なぜ鳥、動植物が絶滅・絶滅危惧種になってしまったか・・・

絵だけでなく語りかけるような文章でも書かれており、

簡単な鳥、動植物の概要も掲載してあります。

全ての生物が調和のもとに命を次世代に紡いでいる地球という星。

わかってはいても日常生活において、生活圏外の「絶滅・絶滅危惧種」達のことは二の次です。

でも実のところ私達が贅沢をした結果、生態の均衡が崩れ始めた事は明らかで

非日常ではなく日常と密接に関わる問題なのが、

「絶滅・絶滅危惧種」達なのではないでしょうか。




もうひとつの場所2



もうひとつの場所1




モアの汽車ポッポ

かつてニュージーランドには、世界で一番大きな鳥がすんでいました。
頭までの高さ約3.6メートル、体重およそ25キロ。
「まぼろしの巨鳥」ともよばれたジャイアントモアは、
翼をもたない、空をとべない鳥です。
でも、足の速さだったら、誰にも負けません。
太くて、長くて、たくましい足で、大地を自由にかけまわっていました。
1000年ほど前まで、ニュージーランドは人のいない島でした。
ジャイアントモアが姿を消したのは、
人による狩猟がおもな原因だといわれています。
そして、ジャイアントモアがいなくなったことによって
天敵だったハーストイーグルもまたいなくなってしまったのです。



ドードー鳥とその仲間たち

『不思議の国のアリス』にも登場し、
アリスの濡れた服をかわかすために「堂々めぐり」のおいかけっこをするドードー。
この飛べない鳥は物語のなかだけの想像のいきものではなく、
じっさい17世紀の後半までインド洋のモーリシャス島にすんでいました。
英語のスラングで「のろま」を意味するドードーは
その名のとおり動作がともてのんびりしています。
しかも、人を恐れることもなかったので、
かんたんに捕まえることができました。
そのため、発見されてからわずか100年ほどで、
1羽もいなくなってしまったのです。



悲しきりょこうばと

リョコウバトは、その名のとおり渡りをするハトの仲間で、
雄はとても美しい羽を持っています。
全盛期にはアメリカにおよそ50億羽もいて、
世界でもっとも数の多い陸の野鳥といわれていました。
鳥類研究家のオーデュボンは1838年の日記に、
リョコウバトの群れが3日間途切れることなく飛び続け、
太陽もさえぎられ、空一面が暗くなったと記しています。
しかし、それから100年もたたないうちに。リョコウバトは絶滅しました。
あのとき、空を覆う無数の鳥の群れを目にした人びとは、
まさか1羽もいなくなってしまうとは
想像もしなかったことでしょう。



インコと花

この400年のあいだに、たくさんのインコが地球からいなくなりました。
カロライナインコは、北アメリカにすむ唯一の野生インコでした。
オレンジ色と黄色の頭に緑色の羽。
とても美しい鳥ですが、果物が大好きだったため果樹農家が被害にあい、
人による大量捕獲がはじまります。
カロライナインコは、シンシナティ動物園で飼育されていた
インカスとレディ・ジェーンというつがいでした。
まず、1917年の夏にレディ・ジェーンが亡くなり、
ほんとうにひとりぼっちになっていまったインカスも、
その翌年、後を追うように息をひきとりました。



冬の行進

「ニッポニアニッポン」という学名をもつトキは、
この国では古くから知られ、『日本書記』や『万葉集』にも
「桃花鳥」という名前で登場します。
日本人は古くからトキの肉を食べていましたが食肉が禁止されていた江戸時代には、
トキが増えすぎて困ったという記録も残っているそうです。
しかし、明治以降は肉や毛皮をとるために乱獲され、
急激にその数を減らしていきました。
もとから日本にいた野生のトキは、
2003年10月10日に死亡した「キン」を最後に、完全に姿を消しました。
しかし、中国から受け入れたトキは少しずつ数を増やし、
2008年には100羽を越えています。


火の鳥の夢

エメラルドグリーンに輝く背中、
深紅の胸、光の角度によってはターコイズブルーに見えたり、
頭頂が金色に輝き、世界一美しいといわれる鳥。
メキシコ南部からパナマ西部にかけて生息するケツァールは、
古代マヤ、アステカ時代には神の化身として崇拝されました。
たしかに、この鳥が輝く翼をひろげて飛翔する姿は、
「神々しい」という言葉がぴったりです。
グアテマラでは国鳥に指定され、通貨の単位にもなっているケツァールですが、
森林伐採によってその数は減りつづけ、
文字通り「幻の鳥」になりつつあります。
ちなみに、手塚治虫の漫画『火の鳥』は、この鳥がモデルになったといわれています。







清川あさみ

写真に刺繍を施すという独特な手法でアートディレクションから
造形作品の制作まで幅広く活躍中のアーティスト。
現在は様々な分野に活動の場を広げ多くの年齢層にファンを持つ。
2004年ベストデビュタント賞、2010年VOCA展入賞、
2011年水戸芸術館(全館規模の個展を開催する作家としては最年少)、
2012年表参道ヒルズにて「清川あさみ|美女採集」を開催。最多動員数を記録。





No.004 オーデュボンの祈り 2012年12月09日 書籍 トラックバック:0コメント:0



物事は、調べ始めると次から次へと新しい発見が連鎖的に、

いつの間にか、あっちとこっちがリンクして、終いには丸く繋がったり。

今回も前記事を調べる中で、とても興味深い書物を見つけたので紹介しようと思う。

伊坂幸太郎著「オーデュボンの祈り」


物語の中にこんな行がある。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

「オーデュボンというのは、動物学者だ」田中はそう話をはじめた。

「フランス生まれだが、アメリカに渡った。そして鳥だとか哺乳類の研究に打ち込んだ」

「オーデュボンはリョコウバトを見つけた。二十億羽もの群れで、空を覆いながら飛ぶ鳥だ。」

「何十億、何百億という鳥が絶滅するかよ」

日比野は、もとからそんな鳥の存在を疑っているかのようでもあった。

「リョコウバトの肉はうまかったらしい」と田中は言った。

それが絶滅の理由のひとつだった、と。

「だとしても、数十億がいなくなるもんか」日比野の意見に、僕も同意したくなる。

「誰もがそう思っていた」田中は人差し指を出した。

「あまりにも数が多すぎたんだ。数が多いことが人を鈍感にした。

いくら虐殺しても絶滅につながるとは思えるわけがなかった。

オーデュボン自身、リョコウバトが消えるとは予想していなかったくらいだ。

「パトスキーの虐殺」田中は返事の代わりにそう口にした。

「1878年、ミシガン州のパトスキーの森林地域で、十億ものリョコウバトが見つかったんだ。」

今から考えれば、その時に、その数の群れがいたことは奇跡に近かった。

貴重な生き残りのリョコウバトだった。それがある人間たちに発見された。

彼らはその時、その鳥たちを少なくとも数億の単位で捕獲しておくべきだったのかもしれない。

「そうはしなかったんだね」僕も予想はできた。

「貴重なリョコウバトの群れ。人間は、それを発見してどうしたのだと思う?」 

撃ったんだ。聞かなくてもわかる。

「ハンターが大挙してやってきた。史上最大のリョコウバトの虐殺がはじまる。

一ヶ月に、三百トンの死骸が出た」

「リョコウバトは、繁殖能力が弱かった」独り言のように田中はつぶやく。絶滅の二つ目の理由だ。

「膨大な数で群れていて、はじめて繁殖できた。

だから残虐がはじまれば、子供の数は急激に減っていくしかない」

「でも、そのオーデュボンもまさか、鳩が全滅するとは思わなかったんだろ。

そいつも無知で馬鹿な男の一人だったんだろ?」日比野の言い方は、遠慮がない。

「だとしても、オーデュボンは願っていたんだ」田中は語調を強めた。

「彼はリョコウバトの大群を、その壮麗さは言葉では表現できないと言い、

壮大な景色が永遠に続くことを望み、祈っていた。そうに決まっている」

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


既存のミステリーの枠にとらわれない大胆な発想で、読者を魅了する伊坂幸太郎のデビュー作である。

物語中に、ジョン・ジェームズ・オーデュボンのリョコウバトの話が多用され、

世界観の構築に役立てられている。

それはどのような世界観なのか?ストーリーの詳細に関しては本筋から逸れるので、

ここでは割愛するとして・・・

またカオス理論の説明などもされており、初期値鋭敏性など学術的な用語を利用している。

カオス理論については、大群で飛ぶ神秘的な鳥の群れの動きに通ずるところがあるので、

こちらもまた改めて後述したいと思う。

さて、オーデュボンは、当時、アメリカ大陸に生息するリョコウバトを発見した人物である。

1800年代の北アメリカ東部には、鳥としては史上最多の生息数

(一説には50億羽ともいわれる)を誇るハトが存在していた。

渡り鳥であったところから「旅をする鳥」リョコウバトと呼ばれたこの鳥は、

我々が想像も出来ないほどの巨大な群れを形成したという。

とてつもない数の群れで何日も空を覆い尽くしたリョコウバトは、

そのとてつもない数にもかかわらず、人間の乱獲によって絶滅したのだ。

彼はリョコウバトの絶滅を予測したにもかかわらず、

ついにリョコウバトを絶滅から救うことはできなかった。



オーデュボンの祈り。

この物語の中には、リョコウバトと重ね合わせて、

「誰にも止められない悲しい結末に向かうことを、人間は失わないと“こと”の大きさに気がつかない」

という著者の痛烈なメッセージが込められているのではないでしょうか・・・。




リョコウバト〜Wikipediaより

18世紀には北アメリカ全土で約50億羽が棲息したと推定され、世界で最も数の多い鳥だったと言われる。
これは当時の北アメリカに棲息していた鳥類の全個体数の4分の1に相当するとも言われ、
また当時の全人類の人口よりも遥かに多く、18世紀では最も数の多い高等生物であったとも言える。

しかし、19世紀に入ると食肉や飼料、また羽根布団の材料になる羽毛の採取のために
乱獲が行われるようになり、数が激減していく。
ただ、それでもまだ莫大な数がおり絶滅するはずがない、と保護は真剣には検討されなかった。
リョコウバトの肉は非常に美味であったと言われ、都会でも良い値段で売れたため、
銃や棒を使用して多くの人々が捕獲を行った。

加えて「ハト撃ち」は、裕福な層の人にとっては嗜むべきスポーツであった。
こうしてリョコウバトの捕獲を専門にするハンターによる、組織的で大規模な狩猟が行われた。

しかし1890年代に入るとその姿はほとんど見られなくなり、ようやく保護も試みられ、
ポスターも作られるなどしてキャンペーンが張られ懸命の努力が行われたが、すでに手遅れであった。
また、保護運動にしても活動家がハンターから暴行を受けるなどの妨害もあった。

ハンターたちが趣味のリョコウバト狩りをしようにも肝心のハトがいないと気付いて慌てた時には、
もうリョコウバトはアメリカの空から消えていなくなっていた。

リョコウバトはそのかつての個体数からは想像もできないほど繁殖力の弱い鳥類であり、
小さな集団では繁殖できず、繁殖期は年に1度で、しかも1回の産卵数は1個だけであった。
そのため、いったん大きく減った個体数を回復することは困難だったのである。
また、19世紀以降、リョコウバトの本来の生息地であった森が人間の開発により
急速に奪われていったことも、彼らの減少に拍車をかけることとなった。

1906年にハンターに撃ち落されたものを最後に、野生の個種は姿を消す。
1908年に7羽、1910年8月にはオハイオ州のシンシナティ動物園で飼育されていた
雌のマーサ(ジョージ・ワシントンの妻マーサから名をとった)のみとなる。

マーサは動物園で生まれ、檻の中で一生を過ごした。
1914年9月1日午後1時、マーサは老衰のため死亡し、
リョコウバトは絶滅した。マーサの標本は現在スミソニアン博物館に収蔵されている。


最後の一羽となった「マーサ」

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現在、世界中のあちこちに、絶滅の危機にさらされた鳥たちがたくさんいます。

本ブログの第一回目に紹介した「世界鳥類大図鑑」のマイケル・ランド博士の言葉の如く、

「その中の一種でも失えば、人類の損失となります。」

微力ながらも本ブログで鳥の魅力、大切さを少しでも伝えることが、

こうした鳥たちを保護する活動の一助となればと願わずにはいられません。




 
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