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No.024 Parrots that glow in the dark. 2015年11月02日 生態 トラックバック:0コメント:0


前記事の続きです。

では実際、オウム達はどのような色の世界を見ているのでしょうか?

人間と同じように見ているのでしょうか?

実は鳥達は、人間が想像もつかない世界を見ているようです。

そのヒントがこの項に書かれていました。




Parrots that glow in the dark

暗がりで輝くオウム


Human eyes see three colors: other visible colors result from combination of these.

人間の眼は3種類の色を認識します。他の可視光はこの3色の色の組み合わせからできています。


Some birds, notabbly pigeons and hummingbirds, are known to see four colors :
their eyes sensitive also to ultraviolet light.


鳩やハチドリのような鳥は4色で見ているということは知られています。
彼らの眼は紫外線にも敏感なのです。


Although little is known at present about what birds do with this enhanced capability perhaps
there is more than a hint involved in a recent discovery concerning the plumage of parrots,
which apparently glow in the dark.


鳥がこの強化された能力をどのように活用しているのかについては、現在ほとんどわかっていないのですが、
最近分かってきた、明白に暗がりで輝くオウムの羽毛に、多くのヒントが隠されているようです。


Ultraviolet 'colors' become visible to human eyes
if you shine an ultraviolet light on them which makes them glow.


紫外線をオウムにあてると羽が輝き、人間の眼で紫外線の色を見ることができるようになります。


Not too long ago a museum ornithologist look a notion to turn out the light
and shine an ultraviolet light on his parrot specimens and found that they fluoresced strongly.


少し前に、博物館の鳥類学者が、オウムの標本に、光を消して紫外線を照射した時、
オウムが強く蛍光色を発することを発見しました。


He discovered that both the Sulphur-crested Cockatoo's crest
and the Budgerigar's forehead glows strongly in the dark, as does the Eastern Rosella's back.


彼は、キバタンの冠羽とセキセイインコの額が暗闇で強く輝くことを発見しました。
それは、ナナクサインコの背中でも同じでした。


These are parts used prominently in courtship,
so there is a strong suggestion that the fluorescent pigments are involved somehow in mating
but so far it is not even known for certain whether parrot eyes are sensitive to ultraviolet frequencies.


これらは、求愛において著しく使われるパーツであり、蛍光顔料がかなり交配に関与していると言うこができるでしょう。
しかし、今のところ、オウムの眼が紫外線周波数に敏感かどうかはまだはっきりとはわかっていません。




DSC_0543.jpg
Some Parrots' brightest feathers are visible only under ultraviolet light, like those of these Eastern Rosellas.
ナナクサインコのような数種のオウムの最も明るい羽は、紫外線下でのみ見ることができます。




予てから鳥が三原色(レッド(R)・グリーン(G)・ブルー(B))+紫外線で世界を見ているということは知っていましたが、

実際には一体どんな世界が鳥達の目の前に広がっているのかを想像することは難かった。

これを機に、更に調べてみると、いろいろなことが分かってきました。

参考にしたのは、以下のサイトです。

True Colors: How Birds See the World

日経サイエンス/ 2006年10月号/鳥たちが見る色あざやかな世界

日経サイエンスの記事は購入して全文を読んでみました。

それによると、難しい記述、専門的なワードがたくさん出てきて?な部分は多々あったものの、

私なりに理解したことを纏めてみようと思います。






私達は人間の視覚システムが進化の頂点にあると思っているが、それは大きな間違いで、

実際は哺乳類以外の多くの脊椎動物(鳥類・爬虫類・魚類)、昆虫類が、

紫外線受容体を持ち、ヒトの見ることができない近紫外線領域(200〜380nm)を見ることができ、

はるかに彩り豊かに世界を眺めている。

◎近紫外線領域:波長200~380nm程度線。
人体に影響を与えるUVA(315~380nm)、UVB(280~315nm)、UVC(200~280nm)を含み、
日焼けの原因になるほか強い殺菌作用をもつ。

◎可視光線領域:380〜780nm程度
光が電磁波の一部であるということがわかってから、ほかの電磁波、特に紫外線と区別するために、
人の眼に見える波長の光を可視光線と呼ぶようになった。




脊椎動物の色覚は網膜の中にどのタイプの錐体視細胞を持つかによって決まる。

生物が色を感知するには、網膜の神経細胞の中で光を感受する視細胞=「錐体視細胞」が関係している。

2種類以上の「錐体視細胞」の応答を比べることにより脳は色を知覚できる。

哺乳類の祖先は元々4タイプの錐体視細胞を持っていたが、

進化の過程で失い、ほとんどの哺乳類は2タイプのみ。

ヒトを含む旧世界霊長類は進化の過程で変異を起こし3タイプとなったが

鳥類は4タイプ全ての錐体視細胞を持ち続けている。

錐体視細胞の種類が多いほど異なる色を見る能力がより一層向上する。

従って鳥類の視覚世界に比べると哺乳類のそれは明らかに限界があり、

例外的に3タイプを持つヒトでさえ、鳥に比べれば見劣りがする。



では実際、鳥は4色系の色覚をもっているのか?

訓練されたセキセインコを用い、単色光と混合光(紫外線を含む)いずれかを選ばせる

という色覚テストをした結果でそれは証明された。

しかし、3タイプの錐体視細胞しかもっていない私たちは

鳥がどんな色彩の世界を見ているのか知る術はない。

一つのヒントとして、紫外線だけ検出する特殊なカメラで撮影した写真がある。


菊


私達には黄色の花びらと中央の黒い円しか見えないが(右)

紫外線だけ検出するカメラ(左)で見ると、花びらの色が途中から変わり、

中央を大きなリングが囲んでいることが分かる。



では、鳥類がこのような視覚システムをもっているのは何の意味があるのだろう。

研究者は、鳥の配偶者選択に影響を与えているのではないかと考え始めている。

鳥類には多くの種で雄は雌よりずっと鮮やかな色彩をしているがあまり違いのない種もいる。

ヒトには雄雌共に同じに見える139種の鳥を羽毛の反射光波長の測定結果に基づき調べたところ、

90%以上の種で鳥達は雄雌の違いを識別できると推定した。

求愛ディスプレーに関わる羽毛には、それ以外の部分よりも紫外線成分を含む色がより多く見られることを見いだした。

さらに、雌は最も明るい紫外線反射を示す雄に引かれていることも見いだした。

どうしてそんなに紫外線が大事なのだろうか。

紫外線反射率は、羽毛の顕微鏡レベルでの微細胞構造によって決まり、

雄の健康状態の指標になるのだそうだ。

最も明るく最も紫外線寄りの青色をした雄は個体が大きく、獲物の豊富な縄張りを持ち、

他の雄より頻繁にひなに餌を与えていることが分かった。

一般的に、紫外線が見えるということは有利に餌を確保できる可能性も大きい。





+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

私達は、自分の能力を超えた世界を思い描くことが難しい。

しかし、人間のうぬぼれという色眼鏡で見る世界と本当の世界は違い、

自分達の視覚が進化の頂点ではないと知ることは、謙虚な姿勢を持つことに繋がるだろう。
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No.023 Why are Parrots so Brightly Colored? 2015年10月31日 生態 トラックバック:0コメント:0


ブログの書き方も忘れるぐらいご無沙汰してしまった本ブログの更新。

日付を見れば、2013年4月1日に更新したっきりになってしまっていました。

時が経つのは早いもので、あれから2年以上の月日が流れ・・・

その間、鳥を訪ねてニュージーランドとオーストラリアを1ヶ月ほど旅したり、

我が父母の介護老人ホーム生活が始まってしまったり、我が愛鳥の病気が続いたり・・・

諸々日々の雑務に追われ、すっかりブログから離れてしまっていました。



そんな中、先日とある集まりで、親子程も年の離れた若い女子2名と話す機会がありました。

その話の中で、いろいろな学問の話題になった時、

風前の灯火と化していた私の鳥勉学魂に、またほんの少し明かりが点り始めました。

そうだった!このブログを始めたのは、

鳥病?に罹患して、あらゆる鳥のことについて学びたい!という思いがきっかけでした。



そこで、久々にブログを更新しようと思います。

書きたいことはたくさんありますが、まずは手始めに、

鳥観旅の際に購入した本〜PARROTS OF AUSTRALIA

に書かれていた興味深かった事についておさらいしてみようと思います。



その内容は、

「なぜオウムはカラフルな色をしているのか?」



最近、頭の訓練にもなるであろうと思い、勉強し始めた英会話。

その勉強にもなるので英語で書かれた文章を単純に和訳してみようと思う。






Why are Parrots so Brightly Colored?

なぜオウムはカラフルな色をしているのか?



The quick answer is because they can afford to be.

それには、理に適った理由があるのです。


All animals confront two opposing imperative:
they must be conspicuous to their mates while remaining hidden from their predators.


全ての動物は、相反する二つの問題を抱えています。
それは捕食者から身を隠しながら異性からは目立つ存在にならなければならないということです。


There are no solutions to this contradiction and every position is a compromise.

これに関する正しい解決方法はなく、妥協するしかありません。


In general, birds that are large have less to fear from predators than those that are small
and birds that flock have less to fear from predators than solitary birds
because there are more eyes to spot danger.


一般に、大きい鳥は小さい鳥に比べて捕食者からの危険性は低く、
群れの鳥は単独でいる鳥よりも監視する目が多いため危険度は低いです。


Parrots have an advantage in this respect which makes them suitable contenders
for some striking apparel in the plumage line.


オウムは魅力的で目立つ美しい羽をもっているので、
強い競争相手にはこの点において有利です。


Also, where many related species occur together,
as in parrots, it becomes particularly important that each species be promptly recognized for what it is:
if there is confusion among the sexes, this will inevitably lead to missing out in the mating stakes.


たくさんのオウムの近親種が生息するなかで、迅速にお互いを認識することは特に重要です。
もし性の混乱があったならば、それは必然的に交配の失敗につながります。


Conspicuous markings and distinctive colors are therefore
an advantage when it comes to propagating the species.


目立つ容姿と独特な色は、それ故に子孫繁栄においては有利となります。


So, taking all factors into account, parrots do not need to fear predators
but they do need to be concerned about mixing themselves up,
so their particular compromise leans towards the flamboyant rather than the unobtrusive.


よって、要因を全て考慮にいれると、オウムは捕食者を恐れる必要はないのです。
しかし、交配の混乱をさける必要があるため、
控え目であるよりむしろ派手である方が得策ということになるのです。





上記の内容を基に、素人ながら、我が家の鳥達に照らし合わせて色に関して少し考察してみようと思う。

我が家には二羽のインコがいます。

一羽は、アフリカのナミビア生息のコザクラインコ。

色は、頭部が黄色で体は黄緑色です。

比較的最近のコザクラインコの色変わりで、珍しいタイプです。

依って、野生下には生息していないタイプです。

野生化のコザクラインコのほとんどは、

顔が赤で、それ以外の頭から体にかけては緑色をしています。

写真でみるとかなりカラフルな色合いです。

生息地のナミビアの気候はとても乾燥していて、通常少数の群れで行動しています。

群れで行動しているとはいえ、小さなインコがこんなカラフルな色をしていて目立ち過ぎて

捕食者から危険にさらされることはないのか?

野生下でのコザクラインコの生態を調べてみると、

崖の岩の隙間や、 他の鳥の巣のおさがりなどを巣として再利用し、 潜り込んで眠ります。

飼われているコザクインコが、あまり止まり木を使わなかったり、

飼い主の服の中に潜り込んで寝たり遊んだりするのが好きなのも、この習性からきているのでしょう。

また、スズメが作った大規模な巣を再利用し、 異種混合の鳥たちと村を作り上げたりもします。

そこには小さな猛禽類まで住み着いたりもしているようです。

性質的には、物怖じせず活発、自分より大きい鳥に威嚇したりもします。

そんな環境や性質から、体色がカラフルであっても生き延びてこれたのかもしれません。

野生下のコザクラインコの生態に関しては、

まだまだ不明な点が多いので、追って更に調べ進めてみたいと思っています。


03.jpg
みかんの山に紛れて擬態する我が家のコザクラインコ(笑)


02.jpg
左がコザクラインコのノーマル種。野生下ではほとんどがこの色合い。






もう一羽は、オーストラリア生息のオカメインコ。
(インコという名称が付いていますが、学術的にはオウムの仲間で、一番小さいオウムです。)

こちらは、全身がほぼ白色で、野生下のオカメインコとは全く異なる色合いをしています。

野生下では、ほとんどが灰色で、顔のみが黄色とオレンジ色(頬紅をさした様)をしています。

これは彼らの野生下での生息環境=乾燥地帯において、枯れ木に擬態するとき、完璧に有利となります。

また、通常、数百の群れで、驚くほど慎重に行動をします。

実際にオーストラリアで野生のオカメインコに出会ったとき、そのあまりの慎重さに驚きました。

もし我が家のオカメインコが野生下に生息していた場合、

その体色から、他のオカメインコに比べて圧倒的に目立ち、

襲われる確立が高く、生存確率も低いといえるでしょう。


01.jpg
左がオカメインコのノーマル種。右が我が家のオカメインコ。


04_201510312114038cf.jpg
オーストラリアのジョージタウンにて撮影。上部に灰色に点在して見えるのが、オカメインコのノーマル種。見事に枯れ枝に擬態しています。




いずれにせよ、飼い鳥として育ったきた鳥が野生に戻るのは、

ほぼ無理に等しいことだとは思いますが。。。

しかしながら、こうやって野生と飼い鳥を比べてみることは、とても興味深い試みです。

幸い我が家には鳥が2羽いるので、じっくり観察して今後の飼育に活かして行きたいと思っています。

飼い鳥といえども、確実にそのDNAは受け継がれていて、

いざと言う時、野生下でのあり方は飼育の指針になるからです。

No.019 ホットスポット・最後の楽園 2013年01月11日 生態 トラックバック:0コメント:2



あけましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願い致します。




試行錯誤中のブログですので、更新も内容も気の向くまま。

そんなマイペース更新のブログですが、

少しでも気に留めていただき、ひょこり覗きにきていただけるとうれしいです。

さて、本ブログにはまだまだ書き認めておきたいことはたくさんあるのですが、

日々の雑務に追われ、2013年が開けて、もう10日程も経ってしまいました。




これは、2012年暮れの話になります。




昨年末、島根帰省中の友人からメールをもらった。

正月三日のNHKの番組に私の大好きなカカポが出演するとのこと。

正直、そんなメジャーな局に取り上げられるとのことでびっくりした。

その友人に詳しいサイトを送ってもらって内容を確認してみると・・・

絶滅に瀕する生物や壮大な大自然のドラマを記録するとともに、

福山雅治さんがプレゼンターとして参画することで好評を博した、

NHKスペシャル「ホットスポット・最後の楽園」

その第2シリーズの制作が決定したとのこと。

今回は、第2シリーズ本編の放送に先駆け、

その旅の一部を一足早く公開するというものだった。




今回、福山さんが訪ねたのは、第2シリーズの候補地の一つ「ボルネオ島」と

第1シリーズでは実現できなかった「ニュージーランド」。

もちろん私が関心があったのは「ニュージーランド」。

福山さんが憧れの鳥という世界で唯一の飛べないオウム、

カカポとの感動の対面を果たすのだそうだ。

ほかにも、同じ飛べない鳥のキーウィやタカへ、

世界一賢いと言われるケア、なども紹介されるとのこと。

そんな希少種や驚異の自然とのふれ合いもさることながら、

旅の様子やハプニング、現地でのインタビューなどを通じて、

普段は見る事のできない福山さんの素顔もたっぷり堪能でき、

家族全員で楽しめる冒険感あふれる大型自然紀行番組とのこと。

これは見ない訳にはいかない。

残念ながら正月は帰省先のため、しっかり予約録画をして

正月開けに待望の番組をようやく観ることができた。




世界でも類をみないユニークな鳥の楽園、ニュージーランド。

その鳥たちの大きな特徴のひとつが“飛べない”ことだ。

森で子育てをする原始的なフィヨルドランドペンギン

フクロウのような姿をした夜行性のオウム、カカポ

絶滅した巨鳥モアを小さくしたような姿をしたキーウィ

光の当たる角度によって色の見え方が美しく変化する羽をもったタカヘ

全てニュージーランド固有種の飛べない鳥である。

この、“飛べない”という特徴は、ニュージーランド誕生の歴史と深く関わっている。

ゴンドワナ大陸の分裂に伴い、約6000万年前、オーストラリアから離れて以降、

ニュージーランドは大海によって大陸と隔てられてきた。

その際、幸運にも天敵となる哺乳類がいなかったため、独自の進化を遂げてきた。

飛ぶ必要がなくなっていったのである。

天敵がおらず、太古のゴンドワナの遺産が生き延びてきた楽園と考えられてきたニュージーランドだが、

近年その通説を覆す新説が発表され注目されている。

なんとニュージーランドは2000万年ほど前に、島のほとんどが水没したのではないかというのだ。

ニュージーランド全域に大量の石灰岩が見つかり、その中から海洋生物の化石が発見された。

それは、過去地殻変動が起き、完全に海面下に沈み、陸地は数百万年間海面下にあったことを示している。

その後プレートが衝突し再度激しい地殻変動が起こり、

海に沈んだ陸地が押し上げられて地上に姿を表した。

それによってほとんどの生物が絶滅し、

その後やってきた生物が天敵の哺乳類がいない環境で独自の進化を遂げてきた。

そればかりではなく、その後寒冷化が始まり、ニュージーランドは氷の大地と化した。

その試練を生き抜いて、今も雪の中で暮らす珍しい鳥がいる・・・ケアだ。





そんな長い年月の試練を乗り越えてきたニュージーランドの鳥たち。

近年の人間による乱獲や、ねずみ・猫・イタチといった哺乳類の流入で

過去50種類もの鳥が絶滅に追いやられており、

今も絶滅の危機に瀕している鳥が数多くいる。




番組では、カカポと福山さんの感動の対面や

偶然に宿泊所の庭にやって来たタカヘとの対面。

氷河の谷を住処とし、人間を恐れず世界一賢い鳥といわれるケア(ミヤマオウム)、

地元の博物館に展示されている既に絶滅してしまったモアなどの鳥達の姿を通じて、

生態系の破壊や外来種の進入など、地球レベルでの環境破壊で急速に生息地が

失われていく危機感を訴えています。

ホットスポットは絶滅が心配される生き物の貴重な避難場所、

「現代版ノアの方舟」になっているのです。

番組では、独特の自然環境やユニークな生き物たちの知られざる生態を描くと共に、

そこぞれの地域で特殊性を加速し、進化させてきた“ドライビングフォース(推進力)”にスポットを当て、

地球史的、地誌的な視点を折り込みながら、多様性が生み出されてきた謎に迫っています。

同時に地球レベルの環境変化によって、自然の多様性が急速に失われつつある今日、

絶滅に瀕した生き物たちの貴重な映像記録のシリーズとなっています。





カカポ。

体長60センチ、体重3〜4キログラムほど。

夜行性(絶滅した巨大生物から逃げるための適応の結果)。

人間を恐れず、危機が迫ると固まる。

野生で生きていくにはあまりにものんびりとした性格。

その習性がこの地で他の生き物と共存して生き延びることの難しさを物語っている。

現在懸命に保護活動を続ける人々努力の甲斐あって

200羽ほどに数を伸ばしつある。

人間から隔離された場所でしか生き延びることができないカカポ。

絶滅の瀬戸際でなんとか踏みとどまっている姿がそこにあった。





15年前に生まれ、呼吸器に障害があり人口的に飼育され

ウルヴァ島に一羽住むカカポがいる。シコッコ君である。

人間の手で育てられ、同胞を寄せ付けないため

ずっとこの島に一羽で暮らしているそうだ。

福山さんとの感動の対面を果たしたのはこのシロッコ君だ。

夜行性の為、辺りが暗くなるのを待ち、

保護スタッフの方に案内されてシロッコ君がいそうな場所へ繰り出す。

シロッコ君は普段どこにいるのか?といった質問に対し、スタッフの方は、

高い木に登っていたり、地面を歩いていたりいろいろだと話す。

木登りが上手で20メートルほどの高い木に登っていることもあるそうだ。

羽の色が見事に保護色なため一見すると見逃し、探すのも指南の業だ。

探すこと小一時間ほど。

いました。いました。

不思議そうな顔をして福山さん達をみています。

のそのそやってきてスタッフに近づいてきました。

福山さんもそっと近づいていきます。

手を出すとちょっと噛まれたものの、すばらくすると福山さんの膝に乗ってきたり

手からおやつを食べてみたり、早くもひとなつっこさを表していました。

福山さんの顔が崩れて「かわい」とぽろっとでたコトバが印象的でした。





ところでこのシロッコ君、ニュージーランドの環境保護大使として正式就任し、

スポークスマンならぬ「スポークスバード」として活動中だ。

英BBCのドキュメンタリー番組「Last Chance to See」に出演。

ときにカメラマンを悩ますほどの人なつこいオチャメな姿が一躍話題になり、

カカポの認知度も高まったそうだ。









そこで、ニュージーランド政府は、生物多様性年にあたる2010年、

生物多様性啓発キャンペーンのイメージキャラクターとして、彼に白羽の矢を立てた。

普段はウルヴァ島で暮らすシロッコ君だが、

環境保護大使として、オークランドなどニュージーランド各地を周り、

多くの人々と触れ合ってきた。

また、公式ウェブサイトで定期的にブログを更新しながら、

Flichrでは画像を、Youtubeでは動画を配信し、

FacebookTwitterにも現れるという神出鬼没ぶり!

ちなみにTwitterの更新時間を見る限り、必ずしも「夜行性」ではないようだ(笑)。



2012年6月に発表された「The IUCN Red List of Threatened Species」

で絶滅のおそれのある種に指定されたのは、

全世界の生物種で評価した6万3837種が評価され、そのうち3割以上にあたる

1万9817種に絶滅のおそれがあり、生物多様性劣化の状況は依然深刻です。

年々その数が増えていることも懸念されます。

多くの人々が環境保全や生物多様性の必要性を理解し、

これに向けてアクションを起こしてくれることを願いながら、

シロッコ君の活動は今日も続く・・・。







シロッコ(カカポ)
カカポ2


カカポ1



キーウィ
キーウィ


タカヘ
タカヘ


ケア
ケア


モア
ジャイアントモア2









ホットスポットとは?
生物多様性が豊かでありながら
原生(※1)の7割が失われ危機に直面している地域のこと。
ホットスポットのコンセプトを提唱したのは、
イギリスの生物学者ノーマン・マイヤーズ博士。(1888年)
2000年にはNGOのコンサベーション・インターナショナルによって
優先的に保護・保全すべきホットスポットが25カ所特定された。
2004年には日本も追加され、現在は34の地域がある。
コンサベーション・インターナショナルの調査では、
全ての植物の50%と陸上せきつい動物(※2)の42%が
この34カ所のホットスポットにのみ生息しており、
絶滅が危惧されている哺乳類、鳥類、両生類は75%になる。
※1原生=人口をくわえない自然のままであること。
※2陸上せきつい動物=せきついが内骨格の中心にあり、
体は左右対称、頭部があり、胴部に四肢や尾がついている動物のこと。
両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類がこれにあたる。


ホットスポット1


ホットスポット2

No.015 Life with Alex a memoir 2012年12月21日 生態 トラックバック:0コメント:0

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アイリーン・ペパーバーグ博士が来日された時に

紹介していたDVD。

アレックスの研究風景をまとめたもので、

予約販売をしていた。

そのDVDがアメリカから届いた。



Life with Alex

A film by Emily Wick

The parrot who changed how the world understands animal intelligence.

いかにして動物の知能を理解するか、その認識を変えたオウム。




さまざまな鳥類の認知能力、

言語コミュニケーション能力を研究を通して世に知らしめ、

2007年にこの世を去ったヨウムのアレックスと

ペパーバーグ博士の学習・研究風景などを収録したDVDです。





◎DVDジャケットカバーバックより


もし、たぐいまれな能力を持った

鳥の心を垣間見ることができたとしたらどうしますか。

「Life with Alex」は、

人類以外の生物の認識及び学習能力についての常識を覆すものです。

ヨウムのアレックスとアイリーン・ペパーバーグ博士、

研究所マネージャー、アーリーン・レビン=ロウ、

そして彼らの学生たちが、

今まで私達が見たことのない世界への扉を開いてくれます。

アレックスの業績および研究所のメンバーたちとの関係は

動物がどのように考えるか、

についての私たちの認識を大きく変えました。

アレックス自身が何を考え、

何を感じたのかを、

意味のある人間の言葉で伝えました。

「Life with Alex」、

このDVDに収められたシーンは

いままで公表されていなかった映像で満載です。

31歳で亡くなった彼の死よって、

アレックスは、世界中の何百万ものファンの心に刻み込まれました。

そして、我々が共存するこの地球の全ての生物の大使となったのです。

「Life with Alex」は驚くべき能力を持った鳥の心の世界へお誘いします。




What if you could get a glimpse into the life and mind of one

of the most extraordinary birds ever to live?

Now you can.

Life with Alex is a compelling film about non-human cognition and learning.

Follow Alex, the African Grey parrot, and his colleagues:

Dr. Irene Pepperberg, lab manager Arlene Levin-Rowe,

and their student assistants. Learn about Alex's accomplishments and relationships,

which changed forever what we know about how animals think.

See never-before-released footage of Alex,

in which he uses meaningful human speech to convey how he thought and felt every day.

By the time of his death at age 31,

Alex had won the hearts of millions of fans around the world,

having become as an ambassador for all creatures with whom we share this planet.

Join us as Life with Alex offers a window into the life and mind of this wondrous bird.








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◎アレックス財団

インコの認知能力とコミュニケーション能力の確立を研究支援する団体。
アレックス財団への援助は、インコの知能研究への支援となります。



A GREY PARROT STUDIOS Production
DIRECTED BY EMILY WICK
FEATURING ALEX,DR.IRENE PEPPERBERG,
and ARLENE LEVIN-ROWE
CONSULTING EDITOR JUDY IRVING
MUSIC BY PAULETTE NICHOLS





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No.014 アイリーン・ペパーバーグ博士によるモデルライバル法実演 2012年12月20日 生態 トラックバック:0コメント:0



ちょっと前の話しになります。

第2回ABiCo~Asia Birds Convention~で講演をするため、

ヨウムのアレックスで有名なアイリーン・ペパーバーグ博士が来日され、

TSUBASA「とり村」にいらっしゃいました。

そして、アレックスが学んだ手法「モデル/ライバル法」

のデモンストレーションを実演してくださることになり、そのデモに参加させていただきました。

TSUBASAの鳥から一羽代表してもらって、ペパーバーグ博士の手ほどきを受けました。




●モデル/ライバル法とは?

ペパーバーグ博士は、アレックスを訓練する際に、
M/R法(モデル/ライバル法)の改良版を用いました。
実験者は、メインのトレーナーの人と、モデルかつライバルとなる人の2人が必要です。

まず、ヨウムの好きそうなものを用意します。
それの名前だったり(「何がある?」)、色だったり(「どんな色?」)、
形だったり(「どんな形?」)、個数だったり(「何個ある?)を答えさせるわけです。
トレーナーの人は、ヨウムのモデルとなる人に、上で述べたような質問をおこないます。
正解すれば、褒めて、それをあげます。
このモデルの人は、オウムにとっては、反応のモデルであると同時に、
トレーナーの注意を自分から奪うライバルでもあります。

モデルの人は、時々間違えるようにします。
なるべくヨウムの間違いに似た発声をおこないます。
モデルが間違っていることをヨウムにわからせるため、
トレーナーはモデルの間違いに対して、叱ったり、
その物を取り上げたりすることをします。
それと同時に「惜しい」「がんばって」などのように励まし、
モデルが修正しようとしているところをヨウムに見せます。

このトレーナーとモデルは、つねに固定しているのではなく、交替を繰り返します。
あるときはトレーナーだった人が、次の瞬間にはモデルの役を引き受けるわけです。
そして、そのやりとりのなかに、ヨウムを巻きこんでいきます。
つまり、2人の人間のどちらかがトレーナーで、
ヨウムが回答者となる状況を、ときどき入れていくということです。
トレーナーは、人間のモデルにしたのと同じように、ヨウムに質問し、
褒めて物をあげたり、叱ってとりあげたり、励ましたりすることになります。

下の本の第2章 "Can we really communicate with a bird?" に、詳細が書かれています。
興味ある方は是非ご一読を。

The Alex Studies: Cognitive and Communicative Abilities of Grey Parrots

邦訳版
アレックス・スタディ―オウムは人間の言葉を理解するか





◎アレックス関連サイト

書籍/アレックスと私

WIRED.jp Archives/ゼロの概念を習得した「天才」オウム


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今回、TSUBASAの鳥から選ばれたのは、ヨウムの空(くう)ちゃん。

当初はTSUBASAスタッフが、大勢の人の前や初めての人の前でも平気な、

アオメキバタンのシロちゃんにお相手を務めてもらおうと思っていたそうですが、

あまり反応が期待できなのではないかと思われた空ちゃんを敢えて、ペパーバーグ博士は選びました。

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トレーナー役はペパーバーグ博士。モデル役は通訳の石綿さん。後に交互に役割を交代します。

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まずは、空ちゃんとペパーバーグ博士のご挨拶。

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今回のデモンストレーションでは、モデルライバル法の基本編で、

「物」にはそれぞれ「名前」があることを教えます。

空ちゃんの好きな物、「かみ」と「たね(ひまわり)」、それを利用して教えていきます。

「かみ」or「たね」の言葉を、お互いに言い合い、

その単語が発音できたら、ご褒美に「かみ」or「たね」をあげます。



その流れは、ひとつの単純な単語で繰り返されます。(P=ペパーバーグ博士/I=石綿さん)

P:「かみ」

I:「かみ?」

P:「かみ」

I:「かみ?」

合間に、空ちゃんの近くに「かみ」を持って行ってみせたり、渡そうとしたりしながら、このやり取りを繰り返します。

P:「かみ」

I:「oh~~かみ!」

P:「かみ」を渡す。

I:「かみ」をちぎって遊ぶ。

となります。

このやり取りを満面の笑みを浮かべて、楽しそうに何度も繰り返し行ないます。





時々「かみ」を楽しくちぎって遊ぶ様子を見せます。

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ちょっとでも発音しそうなそぶりや音を発した時点で、即褒美をあげます。

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通訳の石綿さんも空ちゃんに「かみ」をあげます。

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「かみ」をちぎってご満悦の空ちゃん。

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「かみ」を右足にしっかり持ったまま、のび~をしてリラックス。

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「かみ」ちぎりにかなりご執心な空ちゃん。

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スタッフも予想外だったのは、普段あまり「かみ」をちぎって遊ばない空ちゃんが、

二人のやりとりをみて、興味を示し、楽しそうに「かみ」をちぎって遊び始めたこと。

遊んだ時間は過去最長だそうです。




木製の「くぎ」を見せたりもしてみました。

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「たね」を与えてみます。でも食べて直ぐになくなってしまいます。

空ちゃんには「かみ」の方が訓練に適しているみたいです。

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実験を続けること1時間ほど。ついに、空ちゃんが言葉を発しました!




「かみ」




これにはペパーバーグ博士もびっくり!

こんな短時間に成功することはあまりないそうです。場内に驚きと喜びの声が上がりました。




すごいね!空ちゃん!

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ちょっと得意顔の空ちゃん?ペパーバーグ博士も誇らしげ。

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空ちゃん、お疲れ様でした。実験大成功!でした。

空ちゃん、訓練が終わった後も、一人でこっそり「かみ」「かみ」「かみ」・・・・・って練習してたりして。






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No.013 天才ヨウムのアレックス 2012年12月19日 生態 トラックバック:0コメント:2



小学生の頃、小鳥を数羽飼っていたことがある。

当時、小鳥を飼うのが流行りだったのか、

あちこちの家の庭先に鳥駕籠がぶら下がっていたり、

縁側に置かれていたりする風景をみかけた。

最初に飼った小鳥は、十姉妹。

人馴れはしていないものの、

ツボ巣に入って家族仲むつまじい様子を眺めるのが楽しみの鳥だった。

その後、オスのセキセイインコを飼った。

こちらも人馴れはしていなかったが、よくしゃべる。

暇さえあれば、しゃべる。

おしゃべりの内容をよく聞いていると

どうやら日常的に家族がしゃべっている言葉をじっと聞いていて

それを憶えていてまねしているらしい。

それは言葉の内容を理解してるわけでなく

単なるまねっこだと思っていた。




一般に「鸚鵡返し」という言葉があり、

オウム・インコ類は物まね上手と言われている。

チンパンジーやゴリラは手話はできるが、喋ることはできない。

現生の生物で人類と直接会話できるのは鳥類しかいない。

オウムが言葉をまねることは昔から知られていたが、

最近の研究では「まねる」のではなく「会話している」ことが解明されてきた。

「まねる」という表現はある意味では正しく、

ある意味では不正確である。

鳥の物まねは、条件反射的な模倣ではなく、

意思疎通の手段として行われているのだ。

「まねる」と言う行動はほとんどの鳥類が持つ習性だそうだ。

その鳥のもっている「まねる」という習性を使って

鳥の知能の高さを研究している、世界的に有名な学者が

アイリーン・ペパーバーグ博士、

そして、その研究対象となったのがヨウムのアレックスだ。




その研究内容が驚きに値する。

アレックスは、50もの物体、また大きさや色、

そして数を認識する能力をも持っているというのだ。

3セットの物体をアラビア数字を使い最大8まで足算をすることができたそうだ。

アレックスは2007年に死亡しているが、

生前研究チームは彼の数の把握能力を検証していたとのこと。

例えば緑色のブロック4個、赤を2個、青を5個提示されたとき、

アレックスは「5個はどの色?」という問いかけに対し

「青」と答えることができた。

アレックスは数の概念を把握していたと考えられている。

さらに別のヨウムに対し

「クリック音を2回鳴らし、鳴らした数を答える」

という実験を行っていた際、

始めに2回鳴らしたときにこのヨウムは何も答えなかったため

さらに2回鳴らしたところアレックスが横から「4」と答え、

さらに2回鳴らしたところ「6」と答えたとのこと。

このことからアレックスには数を把握し

足していく能力があることに気づいた研究者は更に実験を重ねたそうだ。

その結果、お菓子のジェリービーンズとクラッカーといった別々の物体の合計が6以下であった場合

正確に足し算を行えることが分かったという。

その後アレックスは色付きの数字マグネットを使いアラビア数字を覚え、

これを用いた足し算を行えるようになったとのこと。

また、3つのコップの下に隠したジェリービーンズなどの物体を見せられ、

その合計を答えるという実験も平行して行われたとのこと。

どちらの実験も最後まで終わらせることなくアレックスはこの世を去ってしまったそうだが、

その正答率は偶然より高かったとのこと。

現在人間以外で数を合計する能力が実証されているのは

ヨウムのアレックスと、チンパンジーだけである。




以下ナショナルジオグラフィックより引用。

動物に心の内を直接聞いてみたい・・・。

1977年、大学を出たばかりの研究者アイリーン・ペパーバーグは、

こう考えて大胆な実験を始めた。

彼女は1歳のヨウム(オウムの一種)を研究室に持ち込み、

アレックスと名づけて、人間の言葉を教えることにしたのだ。

「意思疎通ができるようになれば、

鳥がどんなふうに世界を見ているか、話を聞けると思ったんです」

ペパーバーグが実験を始めた当時、多くの科学者は、

動物に考える力などないと思っていた。

ロボットと同じように決まりきった反応しかせず、

思考や感情とは縁がないと決めつけていたのである。

いや、うちの犬は違いますよ、と言う人もいるだろう。

だが、そんな主張はなかなか通らない。

動物に思考力がある、言い換えれば、

まわりから得た情報をもとに行動する能力があると科学的に実証するには、どうすればよいのか。

「そのために、アレックスに協力を仰いだわけです」とペパーバーグ。




記憶する、文法や絵文字を理解する、自意識をもつ、

他者の思惑を推察する、動作や行動をまねる、

何かを創り出す・・・・・

こうした能力は、高度な知能をもつことを示す重要な指標とみなされている。

さまざまな実験を通じて、動物たちにもこのような能力があることが、

少しずつ明らかになってきた。




アレックスの英語学習歴は長く、

ペパーバーグと代々の研究助手が30年にわたって指導してきた。

ヨウムは集団で生活するので、仲間との交流が欠かせない。

アレックスにとっては、研究スタッフが仲間のようなものだが、

本物の鳥の仲間として、若いヨウムも2羽飼われている。

ペパーバーグはアレックスをシカゴのペット店で買った。

後でほかの研究者に「どうせ天才ヨウムを選んだのだろう」

と言われたくはなかったので、鳥選びは店員に任せた。

ヨウムの脳は、クルミの実ほどの大きさしかない。

言葉を教え、考えを聞き出そうとしても、

ただの徒労に終わるだろうと、大半の研究仲間は高をくくっていた。

手話や絵文字(シンボル)を使って動物とコミュニケーションをとる研究は、

これまでにもチンパンジーやボノボ(ピグミーチンパンジー)、

ゴリラといった類人猿を対象に行われ、多くはめざましい成果を挙げている。

たとえば、カンジと名づけられたボノボは、

多数の絵文字を使って、研究者と“会話”する。

会話といっても、カンジの場合は相手の顔を見て、

口を開き、言葉を発するわけではない。

ペパーバーグはそれを鳥にやらせようというのだ。




◎アレックスの英語学習法

ペパーバーグが席を立って鳥かごに近づくと、アレックスはくちばしを開けた。
 
「ブドウ、ホシイ」
 
「まだ朝食をあげてないので、ちょっとご機嫌ななめなんです」とペパーバーグ。

助手がブドウとサヤインゲン、薄切りにしたリンゴとバナナ、トウモロコシを容器に入れた。

忍耐強い指導のかいあって、アレックスは発声器官である鳴管を使って、

100語近い英単語を発音できるようになった。

朝食に出された食べ物の名前もすべて言えるが、リンゴのことは「バネリー」と呼ぶ。

「味はバナナっぽくて、見た目はちょっとチェリーみたいな果物―そんな意味で、

アレックスが考えた造語なんです」

数も1から6まで数えられるようになり、今は7と8を練習中だという。

「7も8も、もうわかっていると思います。

たぶんもう10までは数えられるでしょうが、発音はまだ練習中なんです。

音によっては、教えるのにかなり時間がかかるものもあるんです」

朝食がすんでも、アレックスはときどき身を乗り出すようにして、

くちばしを開け、声を上げていた。「ス、ス、セ……ウン」

「よくできたわ、アレックス」。ペパーバーグがほめる。「セブン。その数はセブンよ」
 
「ス、ス、セ……ウン! セ……ウン!」
 
「鳴管をどう使ったら正しい音が出せるか考えながら、自分で練習しているんです」

鳥が人間の言葉の手ほどきを受け、その上、自主的に練習もするなどと言われても、

ちょっと信じられないかもしれない。

だが、アレックスという実例を目のあたりにし、その声に耳を傾ければ、納得がいく。

ご褒美の餌をもらえるわけでも、かぎ爪をたたかれて強制されるわけでもない。

それでも、あくまで自分から繰り返し音をまねようとする。

ペパーバーグは、アレックスにセブンという言葉を何十回も言って聞かせた。

「繰り返し聞いて初めて、正確にまねできるようになるんです。

私たちは、アレックスが人間の言葉を覚えられるかどうかを調べようとしているわけではありません。

言葉をまねる能力を利用して、鳥のもつ認知能力を探りたい。当初からそれが狙いでした」




◎動物の認知能力を探る

鳥が世界をどう見ているか、初歩的な質問をする準備は整った。

アレックスにいきなり、何を考えているのか聞くのは無理でも、

数や形、色の識別についての問答ならできる。

ペパーバーグは実際にやってくれた。

まず、棚のかごから緑の鍵と緑の小さなカップを出し、アレックスに見せて聞く。

「何が同じ?」

アレックスは迷わずにくちばしを開けた。

「イ、ロ」
 
「何が違う?」
 
「カタチ」

続く20分間、アレックスは色や形、

大きさや材質(木材、金属、ウールなど)の違いを見分けるテストを次々に受けた。

さまざまな色の積み木の中に黄色いものが何個あるかを数えるなど、

簡単な数の勘定もできた。

そればかりか、英語のレッスンを受けていた別の若いヨウムが

「グリーン」という単語の発音をまちがえたのを聞きつけ、

大声で「ハッキリ、ハナセ!」と言ったのだ。

僕だっていろいろ考えている。

そう言いたいかのようだ。

「生意気なこと言っちゃだめ」と、ペパーバーグは首を振ってたしなめた。

「アレックスは今やっていることは全部わかっているので、退屈してよそに口をはさむんです。

わざとまちがった答えを言って困らせることもあります」

「キ、イキタイ」。アレックスがぽつりと小声で言った。

アレックスは生まれてこのかた、ずっと室内で暮らしてきた。

だが、研究室のドアの向こうにニレの木があるのを知っていて、

その木を見ると機嫌がよくなるのだった。

ペパーバーグは手を差し出して、アレックスをその上にとまらせ、

廊下に出て、木漏れ日の差し込む窓辺に向かった。

「イイコ。イイトリ」。

アレックスはペパーバーグの手の上でうなずくように首を動かした。

「そうね、あなたはいい子よ。いい鳥よ」。

ペパーバーグは小さな頭にキスをした。

アレックスは最後までいい子だった。

死ぬ前にとうとう「セブン」の発音を習得したと、

ペパーバーグは誇らしげに報告してくれた。

「同じ」と「違う」の意味がわかるなど、

アレックスが示した認知能力の多くは、一般には高等な哺乳類、

とりわけ霊長類だけがもつものと考えられている。

だがオウムも、複雑な社会集団の中で暮らす動物だ。

仲間との関係やまわりの環境は絶えず変わる。

変化への対応を迫られるのは、鳥類も霊長類も同じだろう。

「果実の熟し具合を見分けるには、色を識別できないといけません。

姿かたちから、天敵を察知する必要もあります」と、ペパーバーグは説明する。

「色や形がわかり、数の概念が芽生えてくれば、群れの現状を把握できます。

交尾の相手がいる鳥といない鳥を区別するのにも役立ちます。

長生きする鳥は、本能だけでこうした判断をして生きていくのは無理です。

認知能力が必要になってくるはずです」

周囲の事象を心の中で抽象的な概念にグループ分けする能力は、

動物にとっても重要であるはずだ。

人間の知能も、その延長線上にあるものだろうか。

ダーウィンは進化論を人間の脳にも当てはめて、

人間の知能の発達過程を説明しようとした。

人間の心理や知能は、より原始的な生物のもつ能力から進化してきたはずだ。

どの動物も、生きていく中で同じ課題に直面するからだ。

ダーウィンはミミズを観察して、

どの動物にも知能の萌芽のようなものがあるのではないかと考えた。

しかし、20世紀初めには、こんな考えは相手にされなかった。

多くの研究者は、動物を機械のようにみなす行動主義の立場をとり、

マウスを使った室内実験に没頭した。

だが、動物が刺激に反応する機械にすぎないなら、

人間の知能はどのようにして誕生したのか。

人間がすぐれた認知能力を獲得した過程を生物学の見地からきちんと説明するのは、

進化論的な視点抜きでは不可能だ。

時代の流れは、“動物=機械”説からダーウィンの進化論へと徐々に移っていった。

そしてさまざまな動物の研究から、

認知能力の起源は非常に古く、多種多様であることがわかってきた。







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空を飛んだり、巣を作ったり、

エサを探したりする以外のことができるのが知られている鳥は、

アレックスが初めてではない。

アメリカカケスはどうやら特定の出来事を覚えていられるようだし、

キツツキフィンチはエサを得るのに道具を使うことで知られている。

ニュージーランドに住むキーアやカレドニアガラスも

嘴や足を器用に使い、考えながら行動することでも有名だ。



アレックスの知的能力は、クルミほどの大きさの脳しか持たない動物にも

人間のしていることの一部はできる、ということを示し、

ほかの種の鳥の能力の研究に道筋をつけてもいると、

ペッパーバーグ博士は語る。

アレックスの能力が紹介されることは、

ヨウムのような絶滅のおそれのある鳥を保護する助けにもなるだろう。

「基本的に、知覚力と知性を持つ、われわれに近い生き物のほうが、保護しなくてはという理解を得やすい」

とペッパーバーグ博士は語る。



さらに、アレックスに数や形や色を教えるのに使われた手法は、

自閉症や注意欠陥障害などの学習障害のある子供たちに、

他人への共感などのスキルを身につけさせるのにも役立っているそうだ。



残念ながらアレックスは、

2007年9月、31歳の若さで亡くなった。

「鳥は、思考して話す」という驚愕の事実を証明して〜CNN、ABC、Time



You be good. I love you.(和訳:「マタネ。愛シテル」)

死の前の晩、

アレックスはペッパーバーグ博士にいつも通りの挨拶をし、

永遠の眠りについた。




No.008 カカポ 2012年12月13日 生態 トラックバック:0コメント:0

カカポ2


前記事で、ニュージーランドの巨鳥モアが登場する物語を紹介したところで、

そろそろ私が一目惚れした、同じくニュージーランドの固有鳥「カカポ」のことを記しておこうと思う。


カカポの魅力をどう語ろうか?

自分の拙い表現力では、魅力を伝え切れない。

そこで、ネットで検索したら、

すばらしく的確にカカポの魅了をあますところなく伝えていらっしゃる方が。

『カカポ募金』代表・内田泉さんです。

以下は、内田さんの文章の引用になります。



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ネコのように遊び、ブタのように鼻を鳴らし、フクロウのように夜中に動き回り、

ウサギのように穴を掘って子育てし、人間の赤んぼうほどの大きさがあって、

フリージアの花の匂いがするへんてこないきもの。

これが、ニュージーランドで絶滅の危機にある飛べないオウム、カカポです。



カカポ(和名フクロウオウム)は、ニュージーランドの太古の森の住人です。

そのことをはっきりと教えてくれるのは、カカポの羽の色です。

カカポの羽は、日だまりの黄色、やわらかな芽吹きの黄緑、夏の空の下の眩しい緑、木陰の深い緑、

そして曲がりくねって伸びる枝の茶色と、

あらゆる森の色が微妙にブレンドされていて、実に美しいのです。

この羽はカカポの唯一の防衛手段でもあり、鳥たちは恐怖や不安を感じるとぴたっと動きを止め、

誰からも見つからないようにとひたすら願います。



幸いなことに、ニュージーランドの森には今は絶滅してしまった

巨大ワシの他にはたいした敵もいなかったので、

カカポはワシたちの寝ている安全な夜に活動することにして、

飛ぶこともやめてしまい、地上生活を続けました。

そのうちに足がどんどん太く丈夫になり、体には脂肪がついて寒い山の中の暮らしも平気になり、

現在では最高で体長60cm、体重4kgにも達するオウム類で世界一の重量級となりました。



カカポの変わっているところはそれだけではありません。

恋の季節になると、オスたちは特別のダンスを披露するのです。

カカポは、ふだんはオスもメスもナワバリを持ち、

単独で暮らしていて、他の鳥と出会うのを好みません。

しかし、繁殖期になると、カカポのオスたちは自分のナワバリを離れ、

10羽以上も山の上の方に集まってきて、自分の体がスポッとはまるくらいの浅い穴を掘ります。

そして、そこに一晩中座り込み、

胸のところにある空気袋を大きく膨らませて風船みたいにまん丸くなり、

お腹から空気袋に響くような音を出します。

これが「ブーン、ブーン」という音となって、穴の壁に反響し、

山の裾野まで何キロも渡って伝わっていきます。

これを聞きつけたメスが、とことこと山の上までやってくると、

いよいよオスたちのダンスコンクールがはじまります。

彼らはメスの気持ちを惹こうと、普段使わない美しい大きな羽を広げ、

片足ダンスをしたり、後ろ向きに歩いたり、枝をくわえたり放したりします。

メスは、気に入ったオスと短い契りを結び、

すぐに自分のナワバリに戻ってひとりで子育てをするのです。

しかし、「10羽以上も山の上に集まってきて…」と書きましたが、

実際には、これを見た人は誰もいません。

実は古い昔の文献の中でしか、お目にかかれない光景なのです。



ニュージーランドで本格的にカカポの保護がはじまったのが、1970年代のこと。

このころは、カカポが本当にまだ生き残っているのかどうかも分からず、

最後の砦であるフィヨルドランド地方の険しい山の中から

やっと10数羽の鳥が発見されたとき、その全てはオスでした。

つまり、この山の中のオスたちは、毎年、夏の繁殖期が来ると、

もう山にいなくなってしまっているメスを求めて、

夜ごとに「ブーン、ブーン」と呼び続けていたのです。



なぜ、そんなに数が減ってしまったのでしょうか。これは人間のせいなのです。



ポリネシアから船にのって人間がはじめてニュージーランドにやってきたのが、

1000年以上前のこと。

目の前には豊かな森が広がり、耳を覆いたくなるような鳥のコーラスが聞こえていました。

定住をはじめた彼らは、中でも巨大な鳥モアを狙い、

モアを燻り出すために広範囲の森に火をつけました。

大きくて美味しく、美しい羽を持つカカポも格好の獲物でした。

おまけにカカポは、夏になると「ブーン、ブーン」と鳴いて居場所を教えてくれるのですから。



今から200年ほど前になると、ヨーロッパから白人がやってきました。

ヨーロッパ人は一層の激しさで森を焼き払って牧場にし、

さらにネコやイタチ、ネズミ、オコジョなどの肉食動物を連れてきました。

住みかを失い、見たこともない天敵が現れたこの土地に、

のんびりした太古のリズムで生きていたカカポが生き残るのは、不可能に近いことだったのです。



幸いなことに、1980年代に入って、南島のさらに南に位置するスチュワート島にも

カカポが生き残っていることが分かり、メスも発見されました。

ニュージーランド自然保護省はネコやネズミのいない離れ小島に保護区を作り、

鳥たちをそこに放して管理していますが、いまでもカカポの総数は、

たった62羽にすぎません。(2012年現在では150羽程に増えています)



そこで、ニュージーランドを代表するこの魅力的な鳥たちの未来を救うために、

自然保護省は現在『カカポ絶滅救済計画(Kakapo Recovery Programme)』に取り組んでいます。

また、私は日本でこのことを知り、1990年にカカポ基金という小さな非営利団体を設立して、

有志から『カカポ絶滅救済計画』へ寄付を届ける仕事を続けています。

毎年の寄付金は5,000ドルから10,000ドルで、

これはカカポの人工孵化器の購入などに使われています。

昨年11月『カカポ絶滅救済計画』は、

より多くの人に保護活動について知っていただくことができるように、

ホームページを開設しました。(http://www.kakaporecovery.org.nz)

カカポの歴史から生態、保護活動の内容や最新情報など、

内容の充実したとてもきれいなホームページです。



これに対して、日本のカカポ基金は、自然保護省および王立森林鳥類保護協会と協議して、

このホームページを日本語化するボランティアプロジェクトを担当することになりました。

この日本語化プロジェクト『HonyakuKakapo』はメーリングリストを利用して行われ、

カカポ基金のスタッフばかりではなく、自然に興味のある人、翻訳勉強中の人、

インターネットを利用した共同作業に興味のある人など多くの人が参加しています。

まだ4月下旬にはじまったばかりなので、おそらく4~5ヶ月はかかると思います。

その間、どんなことをしているのか覗いてみたい方、

翻訳やIT技術の面で手伝ってくださる方がいらしたら、

いつからでも気軽に参加していただきたいと思っていますので、是非ご連絡ください。

担当者:内田(PXI12631@nifty.ne.jp)プロジェクトのホームページから参加することも可能です。
http://www.egroups.co.jp/group/HonyakuKakapo



6000万年の歴史の中で進化した鳥が、過去たった1000年の変化によって窮地に追いやられてしまう。

カカポは地球上の環境問題のほんの一例にすぎませんが、

多くのことを象徴している存在だと思います。

カカポの保護が成功し、それが他の土地、

特に日本のような島国にとっても大きな参考となることを、私は期待しています。



カカポ基金代表・『HonyakuKakapo』プロジェクト管理人
ライター・翻訳家 内田泉

KIAORA MAILニュージーランド掲載 2001.05.14




カカポ3





内田さんが上記の文章を書かれてから11年ほどが経ちました。

2001年に62羽しか残っていなかったカカポも、今ではその倍以上、150羽に増えるほどに。

懸命に保護活動をする方々には感謝の気持ちでいっぱです。

極力自然の状態の中で繁殖させようとするためのスタッフの努力は並々ならぬものとお察しします。

この先も、引き続き順調に繁殖が成功し、

たくさんのカカポが育っていくことを見守っていきたいと思います。






◆カカポギャラリー


◎カカポ―月の子ども うちだ いずみ (著)、さじ ちあき (イラスト)

ニュージーランドの深い深い森の奥に昔から住んでいた鳥、カカポ。
ユニークで愛嬌のある、飛ぶことを忘れてしまったオウムの一種。
美しいイラストでカカポの生態、悲劇的な歴史を紹介。
印税の一部はカカポを保護するための「カカポ基金」に提供されます。

月の子ども



◎Kakapo Rescue: Saving the World's Strangest Parrot (Scientists in the Field)

カカポ本2





◎カカポの鳴き声を聞くことができるサイト・・・New Zealand birds

前半は普通時の鳴き声、後半はボーンボーンという鳴き声が聞こえます。

カカポ5



カカポ4







 
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