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No.015 Life with Alex a memoir 2012年12月21日 生態 トラックバック:0コメント:0

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アイリーン・ペパーバーグ博士が来日された時に

紹介していたDVD。

アレックスの研究風景をまとめたもので、

予約販売をしていた。

そのDVDがアメリカから届いた。



Life with Alex

A film by Emily Wick

The parrot who changed how the world understands animal intelligence.

いかにして動物の知能を理解するか、その認識を変えたオウム。




さまざまな鳥類の認知能力、

言語コミュニケーション能力を研究を通して世に知らしめ、

2007年にこの世を去ったヨウムのアレックスと

ペパーバーグ博士の学習・研究風景などを収録したDVDです。





◎DVDジャケットカバーバックより


もし、たぐいまれな能力を持った

鳥の心を垣間見ることができたとしたらどうしますか。

「Life with Alex」は、

人類以外の生物の認識及び学習能力についての常識を覆すものです。

ヨウムのアレックスとアイリーン・ペパーバーグ博士、

研究所マネージャー、アーリーン・レビン=ロウ、

そして彼らの学生たちが、

今まで私達が見たことのない世界への扉を開いてくれます。

アレックスの業績および研究所のメンバーたちとの関係は

動物がどのように考えるか、

についての私たちの認識を大きく変えました。

アレックス自身が何を考え、

何を感じたのかを、

意味のある人間の言葉で伝えました。

「Life with Alex」、

このDVDに収められたシーンは

いままで公表されていなかった映像で満載です。

31歳で亡くなった彼の死よって、

アレックスは、世界中の何百万ものファンの心に刻み込まれました。

そして、我々が共存するこの地球の全ての生物の大使となったのです。

「Life with Alex」は驚くべき能力を持った鳥の心の世界へお誘いします。




What if you could get a glimpse into the life and mind of one

of the most extraordinary birds ever to live?

Now you can.

Life with Alex is a compelling film about non-human cognition and learning.

Follow Alex, the African Grey parrot, and his colleagues:

Dr. Irene Pepperberg, lab manager Arlene Levin-Rowe,

and their student assistants. Learn about Alex's accomplishments and relationships,

which changed forever what we know about how animals think.

See never-before-released footage of Alex,

in which he uses meaningful human speech to convey how he thought and felt every day.

By the time of his death at age 31,

Alex had won the hearts of millions of fans around the world,

having become as an ambassador for all creatures with whom we share this planet.

Join us as Life with Alex offers a window into the life and mind of this wondrous bird.








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◎アレックス財団

インコの認知能力とコミュニケーション能力の確立を研究支援する団体。
アレックス財団への援助は、インコの知能研究への支援となります。



A GREY PARROT STUDIOS Production
DIRECTED BY EMILY WICK
FEATURING ALEX,DR.IRENE PEPPERBERG,
and ARLENE LEVIN-ROWE
CONSULTING EDITOR JUDY IRVING
MUSIC BY PAULETTE NICHOLS





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No.014 アイリーン・ペパーバーグ博士によるモデルライバル法実演 2012年12月20日 生態 トラックバック:0コメント:0



ちょっと前の話しになります。

第2回ABiCo~Asia Birds Convention~で講演をするため、

ヨウムのアレックスで有名なアイリーン・ペパーバーグ博士が来日され、

TSUBASA「とり村」にいらっしゃいました。

そして、アレックスが学んだ手法「モデル/ライバル法」

のデモンストレーションを実演してくださることになり、そのデモに参加させていただきました。

TSUBASAの鳥から一羽代表してもらって、ペパーバーグ博士の手ほどきを受けました。




●モデル/ライバル法とは?

ペパーバーグ博士は、アレックスを訓練する際に、
M/R法(モデル/ライバル法)の改良版を用いました。
実験者は、メインのトレーナーの人と、モデルかつライバルとなる人の2人が必要です。

まず、ヨウムの好きそうなものを用意します。
それの名前だったり(「何がある?」)、色だったり(「どんな色?」)、
形だったり(「どんな形?」)、個数だったり(「何個ある?)を答えさせるわけです。
トレーナーの人は、ヨウムのモデルとなる人に、上で述べたような質問をおこないます。
正解すれば、褒めて、それをあげます。
このモデルの人は、オウムにとっては、反応のモデルであると同時に、
トレーナーの注意を自分から奪うライバルでもあります。

モデルの人は、時々間違えるようにします。
なるべくヨウムの間違いに似た発声をおこないます。
モデルが間違っていることをヨウムにわからせるため、
トレーナーはモデルの間違いに対して、叱ったり、
その物を取り上げたりすることをします。
それと同時に「惜しい」「がんばって」などのように励まし、
モデルが修正しようとしているところをヨウムに見せます。

このトレーナーとモデルは、つねに固定しているのではなく、交替を繰り返します。
あるときはトレーナーだった人が、次の瞬間にはモデルの役を引き受けるわけです。
そして、そのやりとりのなかに、ヨウムを巻きこんでいきます。
つまり、2人の人間のどちらかがトレーナーで、
ヨウムが回答者となる状況を、ときどき入れていくということです。
トレーナーは、人間のモデルにしたのと同じように、ヨウムに質問し、
褒めて物をあげたり、叱ってとりあげたり、励ましたりすることになります。

下の本の第2章 "Can we really communicate with a bird?" に、詳細が書かれています。
興味ある方は是非ご一読を。

The Alex Studies: Cognitive and Communicative Abilities of Grey Parrots

邦訳版
アレックス・スタディ―オウムは人間の言葉を理解するか





◎アレックス関連サイト

書籍/アレックスと私

WIRED.jp Archives/ゼロの概念を習得した「天才」オウム


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今回、TSUBASAの鳥から選ばれたのは、ヨウムの空(くう)ちゃん。

当初はTSUBASAスタッフが、大勢の人の前や初めての人の前でも平気な、

アオメキバタンのシロちゃんにお相手を務めてもらおうと思っていたそうですが、

あまり反応が期待できなのではないかと思われた空ちゃんを敢えて、ペパーバーグ博士は選びました。

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トレーナー役はペパーバーグ博士。モデル役は通訳の石綿さん。後に交互に役割を交代します。

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まずは、空ちゃんとペパーバーグ博士のご挨拶。

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今回のデモンストレーションでは、モデルライバル法の基本編で、

「物」にはそれぞれ「名前」があることを教えます。

空ちゃんの好きな物、「かみ」と「たね(ひまわり)」、それを利用して教えていきます。

「かみ」or「たね」の言葉を、お互いに言い合い、

その単語が発音できたら、ご褒美に「かみ」or「たね」をあげます。



その流れは、ひとつの単純な単語で繰り返されます。(P=ペパーバーグ博士/I=石綿さん)

P:「かみ」

I:「かみ?」

P:「かみ」

I:「かみ?」

合間に、空ちゃんの近くに「かみ」を持って行ってみせたり、渡そうとしたりしながら、このやり取りを繰り返します。

P:「かみ」

I:「oh~~かみ!」

P:「かみ」を渡す。

I:「かみ」をちぎって遊ぶ。

となります。

このやり取りを満面の笑みを浮かべて、楽しそうに何度も繰り返し行ないます。





時々「かみ」を楽しくちぎって遊ぶ様子を見せます。

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ちょっとでも発音しそうなそぶりや音を発した時点で、即褒美をあげます。

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通訳の石綿さんも空ちゃんに「かみ」をあげます。

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「かみ」をちぎってご満悦の空ちゃん。

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「かみ」を右足にしっかり持ったまま、のび~をしてリラックス。

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「かみ」ちぎりにかなりご執心な空ちゃん。

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スタッフも予想外だったのは、普段あまり「かみ」をちぎって遊ばない空ちゃんが、

二人のやりとりをみて、興味を示し、楽しそうに「かみ」をちぎって遊び始めたこと。

遊んだ時間は過去最長だそうです。




木製の「くぎ」を見せたりもしてみました。

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「たね」を与えてみます。でも食べて直ぐになくなってしまいます。

空ちゃんには「かみ」の方が訓練に適しているみたいです。

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実験を続けること1時間ほど。ついに、空ちゃんが言葉を発しました!




「かみ」




これにはペパーバーグ博士もびっくり!

こんな短時間に成功することはあまりないそうです。場内に驚きと喜びの声が上がりました。




すごいね!空ちゃん!

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ちょっと得意顔の空ちゃん?ペパーバーグ博士も誇らしげ。

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空ちゃん、お疲れ様でした。実験大成功!でした。

空ちゃん、訓練が終わった後も、一人でこっそり「かみ」「かみ」「かみ」・・・・・って練習してたりして。






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No.013 天才ヨウムのアレックス 2012年12月19日 生態 トラックバック:0コメント:2



小学生の頃、小鳥を数羽飼っていたことがある。

当時、小鳥を飼うのが流行りだったのか、

あちこちの家の庭先に鳥駕籠がぶら下がっていたり、

縁側に置かれていたりする風景をみかけた。

最初に飼った小鳥は、十姉妹。

人馴れはしていないものの、

ツボ巣に入って家族仲むつまじい様子を眺めるのが楽しみの鳥だった。

その後、オスのセキセイインコを飼った。

こちらも人馴れはしていなかったが、よくしゃべる。

暇さえあれば、しゃべる。

おしゃべりの内容をよく聞いていると

どうやら日常的に家族がしゃべっている言葉をじっと聞いていて

それを憶えていてまねしているらしい。

それは言葉の内容を理解してるわけでなく

単なるまねっこだと思っていた。




一般に「鸚鵡返し」という言葉があり、

オウム・インコ類は物まね上手と言われている。

チンパンジーやゴリラは手話はできるが、喋ることはできない。

現生の生物で人類と直接会話できるのは鳥類しかいない。

オウムが言葉をまねることは昔から知られていたが、

最近の研究では「まねる」のではなく「会話している」ことが解明されてきた。

「まねる」という表現はある意味では正しく、

ある意味では不正確である。

鳥の物まねは、条件反射的な模倣ではなく、

意思疎通の手段として行われているのだ。

「まねる」と言う行動はほとんどの鳥類が持つ習性だそうだ。

その鳥のもっている「まねる」という習性を使って

鳥の知能の高さを研究している、世界的に有名な学者が

アイリーン・ペパーバーグ博士、

そして、その研究対象となったのがヨウムのアレックスだ。




その研究内容が驚きに値する。

アレックスは、50もの物体、また大きさや色、

そして数を認識する能力をも持っているというのだ。

3セットの物体をアラビア数字を使い最大8まで足算をすることができたそうだ。

アレックスは2007年に死亡しているが、

生前研究チームは彼の数の把握能力を検証していたとのこと。

例えば緑色のブロック4個、赤を2個、青を5個提示されたとき、

アレックスは「5個はどの色?」という問いかけに対し

「青」と答えることができた。

アレックスは数の概念を把握していたと考えられている。

さらに別のヨウムに対し

「クリック音を2回鳴らし、鳴らした数を答える」

という実験を行っていた際、

始めに2回鳴らしたときにこのヨウムは何も答えなかったため

さらに2回鳴らしたところアレックスが横から「4」と答え、

さらに2回鳴らしたところ「6」と答えたとのこと。

このことからアレックスには数を把握し

足していく能力があることに気づいた研究者は更に実験を重ねたそうだ。

その結果、お菓子のジェリービーンズとクラッカーといった別々の物体の合計が6以下であった場合

正確に足し算を行えることが分かったという。

その後アレックスは色付きの数字マグネットを使いアラビア数字を覚え、

これを用いた足し算を行えるようになったとのこと。

また、3つのコップの下に隠したジェリービーンズなどの物体を見せられ、

その合計を答えるという実験も平行して行われたとのこと。

どちらの実験も最後まで終わらせることなくアレックスはこの世を去ってしまったそうだが、

その正答率は偶然より高かったとのこと。

現在人間以外で数を合計する能力が実証されているのは

ヨウムのアレックスと、チンパンジーだけである。




以下ナショナルジオグラフィックより引用。

動物に心の内を直接聞いてみたい・・・。

1977年、大学を出たばかりの研究者アイリーン・ペパーバーグは、

こう考えて大胆な実験を始めた。

彼女は1歳のヨウム(オウムの一種)を研究室に持ち込み、

アレックスと名づけて、人間の言葉を教えることにしたのだ。

「意思疎通ができるようになれば、

鳥がどんなふうに世界を見ているか、話を聞けると思ったんです」

ペパーバーグが実験を始めた当時、多くの科学者は、

動物に考える力などないと思っていた。

ロボットと同じように決まりきった反応しかせず、

思考や感情とは縁がないと決めつけていたのである。

いや、うちの犬は違いますよ、と言う人もいるだろう。

だが、そんな主張はなかなか通らない。

動物に思考力がある、言い換えれば、

まわりから得た情報をもとに行動する能力があると科学的に実証するには、どうすればよいのか。

「そのために、アレックスに協力を仰いだわけです」とペパーバーグ。




記憶する、文法や絵文字を理解する、自意識をもつ、

他者の思惑を推察する、動作や行動をまねる、

何かを創り出す・・・・・

こうした能力は、高度な知能をもつことを示す重要な指標とみなされている。

さまざまな実験を通じて、動物たちにもこのような能力があることが、

少しずつ明らかになってきた。




アレックスの英語学習歴は長く、

ペパーバーグと代々の研究助手が30年にわたって指導してきた。

ヨウムは集団で生活するので、仲間との交流が欠かせない。

アレックスにとっては、研究スタッフが仲間のようなものだが、

本物の鳥の仲間として、若いヨウムも2羽飼われている。

ペパーバーグはアレックスをシカゴのペット店で買った。

後でほかの研究者に「どうせ天才ヨウムを選んだのだろう」

と言われたくはなかったので、鳥選びは店員に任せた。

ヨウムの脳は、クルミの実ほどの大きさしかない。

言葉を教え、考えを聞き出そうとしても、

ただの徒労に終わるだろうと、大半の研究仲間は高をくくっていた。

手話や絵文字(シンボル)を使って動物とコミュニケーションをとる研究は、

これまでにもチンパンジーやボノボ(ピグミーチンパンジー)、

ゴリラといった類人猿を対象に行われ、多くはめざましい成果を挙げている。

たとえば、カンジと名づけられたボノボは、

多数の絵文字を使って、研究者と“会話”する。

会話といっても、カンジの場合は相手の顔を見て、

口を開き、言葉を発するわけではない。

ペパーバーグはそれを鳥にやらせようというのだ。




◎アレックスの英語学習法

ペパーバーグが席を立って鳥かごに近づくと、アレックスはくちばしを開けた。
 
「ブドウ、ホシイ」
 
「まだ朝食をあげてないので、ちょっとご機嫌ななめなんです」とペパーバーグ。

助手がブドウとサヤインゲン、薄切りにしたリンゴとバナナ、トウモロコシを容器に入れた。

忍耐強い指導のかいあって、アレックスは発声器官である鳴管を使って、

100語近い英単語を発音できるようになった。

朝食に出された食べ物の名前もすべて言えるが、リンゴのことは「バネリー」と呼ぶ。

「味はバナナっぽくて、見た目はちょっとチェリーみたいな果物―そんな意味で、

アレックスが考えた造語なんです」

数も1から6まで数えられるようになり、今は7と8を練習中だという。

「7も8も、もうわかっていると思います。

たぶんもう10までは数えられるでしょうが、発音はまだ練習中なんです。

音によっては、教えるのにかなり時間がかかるものもあるんです」

朝食がすんでも、アレックスはときどき身を乗り出すようにして、

くちばしを開け、声を上げていた。「ス、ス、セ……ウン」

「よくできたわ、アレックス」。ペパーバーグがほめる。「セブン。その数はセブンよ」
 
「ス、ス、セ……ウン! セ……ウン!」
 
「鳴管をどう使ったら正しい音が出せるか考えながら、自分で練習しているんです」

鳥が人間の言葉の手ほどきを受け、その上、自主的に練習もするなどと言われても、

ちょっと信じられないかもしれない。

だが、アレックスという実例を目のあたりにし、その声に耳を傾ければ、納得がいく。

ご褒美の餌をもらえるわけでも、かぎ爪をたたかれて強制されるわけでもない。

それでも、あくまで自分から繰り返し音をまねようとする。

ペパーバーグは、アレックスにセブンという言葉を何十回も言って聞かせた。

「繰り返し聞いて初めて、正確にまねできるようになるんです。

私たちは、アレックスが人間の言葉を覚えられるかどうかを調べようとしているわけではありません。

言葉をまねる能力を利用して、鳥のもつ認知能力を探りたい。当初からそれが狙いでした」




◎動物の認知能力を探る

鳥が世界をどう見ているか、初歩的な質問をする準備は整った。

アレックスにいきなり、何を考えているのか聞くのは無理でも、

数や形、色の識別についての問答ならできる。

ペパーバーグは実際にやってくれた。

まず、棚のかごから緑の鍵と緑の小さなカップを出し、アレックスに見せて聞く。

「何が同じ?」

アレックスは迷わずにくちばしを開けた。

「イ、ロ」
 
「何が違う?」
 
「カタチ」

続く20分間、アレックスは色や形、

大きさや材質(木材、金属、ウールなど)の違いを見分けるテストを次々に受けた。

さまざまな色の積み木の中に黄色いものが何個あるかを数えるなど、

簡単な数の勘定もできた。

そればかりか、英語のレッスンを受けていた別の若いヨウムが

「グリーン」という単語の発音をまちがえたのを聞きつけ、

大声で「ハッキリ、ハナセ!」と言ったのだ。

僕だっていろいろ考えている。

そう言いたいかのようだ。

「生意気なこと言っちゃだめ」と、ペパーバーグは首を振ってたしなめた。

「アレックスは今やっていることは全部わかっているので、退屈してよそに口をはさむんです。

わざとまちがった答えを言って困らせることもあります」

「キ、イキタイ」。アレックスがぽつりと小声で言った。

アレックスは生まれてこのかた、ずっと室内で暮らしてきた。

だが、研究室のドアの向こうにニレの木があるのを知っていて、

その木を見ると機嫌がよくなるのだった。

ペパーバーグは手を差し出して、アレックスをその上にとまらせ、

廊下に出て、木漏れ日の差し込む窓辺に向かった。

「イイコ。イイトリ」。

アレックスはペパーバーグの手の上でうなずくように首を動かした。

「そうね、あなたはいい子よ。いい鳥よ」。

ペパーバーグは小さな頭にキスをした。

アレックスは最後までいい子だった。

死ぬ前にとうとう「セブン」の発音を習得したと、

ペパーバーグは誇らしげに報告してくれた。

「同じ」と「違う」の意味がわかるなど、

アレックスが示した認知能力の多くは、一般には高等な哺乳類、

とりわけ霊長類だけがもつものと考えられている。

だがオウムも、複雑な社会集団の中で暮らす動物だ。

仲間との関係やまわりの環境は絶えず変わる。

変化への対応を迫られるのは、鳥類も霊長類も同じだろう。

「果実の熟し具合を見分けるには、色を識別できないといけません。

姿かたちから、天敵を察知する必要もあります」と、ペパーバーグは説明する。

「色や形がわかり、数の概念が芽生えてくれば、群れの現状を把握できます。

交尾の相手がいる鳥といない鳥を区別するのにも役立ちます。

長生きする鳥は、本能だけでこうした判断をして生きていくのは無理です。

認知能力が必要になってくるはずです」

周囲の事象を心の中で抽象的な概念にグループ分けする能力は、

動物にとっても重要であるはずだ。

人間の知能も、その延長線上にあるものだろうか。

ダーウィンは進化論を人間の脳にも当てはめて、

人間の知能の発達過程を説明しようとした。

人間の心理や知能は、より原始的な生物のもつ能力から進化してきたはずだ。

どの動物も、生きていく中で同じ課題に直面するからだ。

ダーウィンはミミズを観察して、

どの動物にも知能の萌芽のようなものがあるのではないかと考えた。

しかし、20世紀初めには、こんな考えは相手にされなかった。

多くの研究者は、動物を機械のようにみなす行動主義の立場をとり、

マウスを使った室内実験に没頭した。

だが、動物が刺激に反応する機械にすぎないなら、

人間の知能はどのようにして誕生したのか。

人間がすぐれた認知能力を獲得した過程を生物学の見地からきちんと説明するのは、

進化論的な視点抜きでは不可能だ。

時代の流れは、“動物=機械”説からダーウィンの進化論へと徐々に移っていった。

そしてさまざまな動物の研究から、

認知能力の起源は非常に古く、多種多様であることがわかってきた。







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空を飛んだり、巣を作ったり、

エサを探したりする以外のことができるのが知られている鳥は、

アレックスが初めてではない。

アメリカカケスはどうやら特定の出来事を覚えていられるようだし、

キツツキフィンチはエサを得るのに道具を使うことで知られている。

ニュージーランドに住むキーアやカレドニアガラスも

嘴や足を器用に使い、考えながら行動することでも有名だ。



アレックスの知的能力は、クルミほどの大きさの脳しか持たない動物にも

人間のしていることの一部はできる、ということを示し、

ほかの種の鳥の能力の研究に道筋をつけてもいると、

ペッパーバーグ博士は語る。

アレックスの能力が紹介されることは、

ヨウムのような絶滅のおそれのある鳥を保護する助けにもなるだろう。

「基本的に、知覚力と知性を持つ、われわれに近い生き物のほうが、保護しなくてはという理解を得やすい」

とペッパーバーグ博士は語る。



さらに、アレックスに数や形や色を教えるのに使われた手法は、

自閉症や注意欠陥障害などの学習障害のある子供たちに、

他人への共感などのスキルを身につけさせるのにも役立っているそうだ。



残念ながらアレックスは、

2007年9月、31歳の若さで亡くなった。

「鳥は、思考して話す」という驚愕の事実を証明して〜CNN、ABC、Time



You be good. I love you.(和訳:「マタネ。愛シテル」)

死の前の晩、

アレックスはペッパーバーグ博士にいつも通りの挨拶をし、

永遠の眠りについた。




No.012 2012年 Once Upon a Time In Wonder Christmas by ISETAN 2012年12月18日 アート・デザイン トラックバック:0コメント:0



No.09で話題にした、クラウス・ハーパニエミ。

彼が手がけた、今季の伊勢丹のクリスマスディスプレイを見に行ってきました。


今年も例年に劣ることなく、文句なしの素晴らしい出来映え。

何がスゴイかというと、

全館、クラウス・ハーパニエミワールド一色!

どのフロアー、どのショップに出向いても

どこかにかならず、Wonder Christmasのテイストを感じさせる徹底した演出ぶり。

拘りに妥協がないのだ。




じっくりクラウス・ハーパニエミワールドに浸りたい方は是非こちらをどうぞ!

Once Upon a Time in Wonder Christmas

むかしむかし、不思議な動物たちが暮らす「ワンダーランド」には、12の王国がありました。

そこには、大いなる自然とともにある伝説の地。

あなたも、そっとのぞいてみませんか。




あまり時間がなかったので、ざっとディスプレイを見学した程度だったのですが、

それでも、そこかしこにスゴイエネルギーを感じました。

百貨店不況時にこの勢い、盛況ぶり。

なんでも、伊勢丹新宿店はパワースポットにあたるとか。

そんな様子をたくさん紹介しようと思ったのですが、

繁忙時のデパート、悠長に写真を撮ってるひまもなく。

そこで一点、中でも私が、さすが!と思った、

1階アクセサリーショップとWonder Christmasのコラボで作られた

パンフレットを紹介しようと思う。

アクセサリーはクリスマスセールスアピールの大きなポイント。

そのアクセサリーとクラウス・ハーパニエミの絵が

とてもしっくりうまく融合されていて、

アクセサリーの魅力を十二分き引き出している。

不思議な鳥モチーフがたくさんあるところもお見逃しなく!




伊勢丹アクセパンフ表紙


まとめ





No.011 シルク・ドゥ・ソレイユ 2012年12月17日 アート・デザイン トラックバック:0コメント:0



今日は『鳥』とは直接関係はないのですが、

1994年以来、日本での公演は欠かさず観に行くほど大好きな

シルク・ドゥ・ソレイユの話。



初めての方も、ファンの方も、

世界中の誰もが驚き、興奮し、感動する、

世界最高峰のパフォーマンス集団『シルク・ドゥ・ソレイユ』。

彼らの最新作は「3D映画〜彼方からの物語」

魅惑的な物語で綴る、未体験のワンラーランド!

シルク・ドゥ・ソレイユは人間の限界を変えた究極のパフォーマンスで、

世界中の人々を魅了し続けている。

本作は、「タイタニック」「アバター」の

ジェームス・キャメロンがプロデューサーとして参加。

3Dカメラを使って驚くほど美しい映像を撮影し、

シルク・ドゥ・ソレイユの新たな魅力を引き出している。

また、「シュレック」「ナルニア国物語」のアンドリュー・アダムソンが、

監督・脚本を手がけ、老若男女を夢中にされる魅惑的なラブストーリーを作り上げた。

見たことも無い世界への感動を興奮、最先端の技術による臨場感、

究極のパフォーマンスと最先端3Dの融合が全く新しい映画を生み出した。




シルク3


まとめ




Cirque du Soleil Worlds away







彼らは文字通り、人間の限界を超えたパフォーマンに挑戦し続けている。

サーカスという枠組みを超えた、アーティスティックな演出の中、

宙を舞い、飛翔し、ダンスし・・・・

時に引力をも逆らうようなその美しいパフォーマンスに

私は感動と共に憧れさえ感じてしまう。

それは、

「鳥」の羽ばたく姿を見たとき、

「鳥」の美しい色彩に心奪われるとき、に似ている。

こんなにも彼らのパフォーマンスにずっと感動し続けているのは

決してなり得ぬものへの飽くなき挑戦。

その姿勢に、魅了されるからなのかもしれない。




彼らのパフォーマンスの中で私が最も美しいと思うものに、

「エアリアル」がある。

一人ないしは二人のパフォーマーが

天井から釣った一本の紐やシルクの布だけをたよりに

華麗なアクロバティックパフォーマンス繰り広げるもので、

映画の中のエンディングでこれが効果的に使われるのである。

若い男女が愛を確かめ合うように宙を舞う姿がとても感動的なのである。

その感動は、鳥が大空を飛ぶ、圧倒的に美しい飛翔の姿を見た時にどこか似ている。



『シルク・ドゥ・ソレイユ 3D』監督も震えたエアリアル「シルクの絆」とは?

世界的に有名なサーカス、シルク・ドゥ・ソレイユの舞台を映画化した
『シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語』を手がけた
アンドリュー・アダムソン監督が、お気に入りのシーンのひとつを語った。

それは、主人公の男女のパフォーマンス。シルクの演目をすべて見て、
映画化のためのストーリーを構成したアダムソン監督だが、
実は、このシーンは元々シルクの演目にはなかったもので、
監督がストーリーの構成において付け加えたもの。

このお気に入りのシーンは、地上40フィート(約12メートル)
の高さで演じられるもので、まさに圧巻。
監督も「今でも(その映像を)見て、感動します」と口にするほどだ。

「ほとんどイゴールとエリカ、2人のパフォーマーのおかげです」
「実際の振付をどうしていくのかというのは、
彼らに何ができるかというのを見せてもらって決めていきましたが、
具体的な振付はほとんど彼ら2人がやったようなものです」と賞賛する。

さらに、「あそこまでのパフォーマンスをするには、
本当に関係・絆ができていないといけないと思うんですね。
完全に(相手を)信じていないと、感情的なコネクションがないと、
あそこまで信じきれないと思います。
なので、身体表現が感情の絆を見せてくれるということで、
より感情が揺さぶられるんだと思います」と答えた。

生身の人間の、肉体を極限まで駆使したパフォーマンスは、
CGにはない緊迫感や迫力、美しさを感じるだろう。
シルクの新たな一面が見られる映画版シルクを体験してみたい。

〜ハリウッドニュース編集部





◎シルク・ドゥ・ソレイユ(フランス語: Cirque du Soleil、日本語直訳: 太陽のサーカス)(wikipediaより)

火喰い芸の大道芸人だった、ギー・ラリベルテが、
1984年にカナダ・ケベック州で設立したエンターテイメント集団、
及び、それを管理する会社の名称である。
今日シルク・ドゥ・ソレイユでは複数のレジデントショー(常設公演)、
ツアーショー(巡回公演)を並行して行っており、
独特のスタイルに基づいたそれらのショーは、
その芸術性の高さから多くの名声を集め、世界中で幅広い人気を博している。
カナダ・ケベック州モントリオールに国際本部が置かれている。
ショーのスタイルにはサーカスの伝統様式を取り入れているが、
演者としての人間を強調する「ヌーヴォー・シルク(新サーカス)」
と呼ばれるもので、動物を使った曲芸は行わない。
大道芸、サーカス、オペラとロックの要素をふんだんに取り入れ、
体を自在に曲げる軽業や、ジャグリング、力業、道化と空中ブランコなどがよく登場する。
彼等のショーに登場する衣装は非常に多彩で
そして創造的であり、祝祭の雰囲気を醸し出している。


No.010 LE MONDE D'HERMES Automne-Hiver 2012 2012年12月15日 アート・デザイン トラックバック:0コメント:0



HERMESの季刊誌、ルモンド。

鳥好きの友人からの情報で、

今季は鳥がたくさん掲載されているとのことで

早速、HERMES丸の内にもらいに行ってきた。




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なるほど、馴染みのある、小鳥たちがたくさん載っていて、

鳥好きにはたまらない季刊誌だ。



『おかしな小鳥たち』



英国の若手写真家、ルーク・スティーブンソンの作品。

標本のような小鳥たちは、

まるで、モード誌を飾るモデルのよう。


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そして、それ以外に私がびっくり仰天したのがこのページ。



『小鳥を装う婦人』



なんと、日傘兼用杖!

傘の部分は絹で裏打ちしたキジの羽根製、柄は磁器、木製の軸はイバラ模様に塗装、金の留め輪。

『オペラ』と呼ばれる柄のディティールは、ロココ様式の曲線に包まれた花柄、

コルレット(飾り襟)をつけた女性の胸像。

マイセン製、18世紀。


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杖にも日傘にもなるこの不可解な逸品。

これを説明する文章もまたぞくっとするほど不思議な表現なのだ。



自然と人工の奇異な取り合わせは、

ロココ時代の画家ワトーの描く

奇妙な宴の最後の生き残りであっても不思議ではない。

柄の端に目をやれば、磁器の持ち手が天使の笑みを浮かべる

スフィンクスの麗人に姿を変えながら、

なぜか半ばベールに隠された目に

うっすらウイスキーの気配も滲ませる。

それはまさに、

小枝につかまってこちらをうかがう雀のこましゃくれた素振りそのもの・・・・・



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シテール島への巡礼/1717年/油彩・カンヴァス/129×194m
アントワーヌ・ヴァトー(Jean Antoine Watteau)/1684年10月10日生 - 1721年7月18日没/フランス/ロココ美術







把手の10センチ下につけられた奇妙な羽根の細工は、

いったい何だろう。

だれが、だれのために作ったのか。

ひろげれば花冠はふさふさの赤みがかった金髪となり、

羽根が縫い付けられた絹のドームをすっぽり覆いかくす。

使い道は4通りあり、

杖と日傘になるばかりでなく、

森の中ではカムフラージュに、

さらにシバの女王の装身具の代わりも務まる。

東洋では大昔、有力者は4層の天蓋の下に客を迎えて驚かせ、

怖じ気づかせたという。

メデューサと鳥の混血、

日傘兼用杖を発明した想像力豊かな職人の名は伝わっていない。




No.009 クラウス・ハーパニエミ 2012年12月14日 アート・デザイン トラックバック:0コメント:0



リレー形式はちょっとお休みして、

今日はクリスマスショッピング中に見つけた、

とっても素敵なBirdy Goodsの紹介です。

予てからファンだった、クラウス・ハーパニエミ。

そのポストカードブックです。




「不思議な森の紳士録」




クラウス・ハーパニエミの心のなかに映し出された北欧の自然、

不思議で魅力的な姿がつめこまれてます。




『もしあなたが自然からインスピレーションを受け、

自然をあなたの想像力を刺激する特別な泉とみるなら、

あなたの内なる心とふたたびつながることができるのではないでしょうか?』

〜クラウス・ハーパニエミ


クラウス72dpi





クラウス・ハーパニエミ

デザイナー、アーティスト。

1970年にフィンランドで生まれ、現在はロンドンを拠点に活躍中。

独特の描線・色使いで描く美しい風景や神秘的なクリーチャー(動物たち)は、

さまざまな人々、人気ブランドや世界中のメディアから注目を集めている。

2009年以来、伊勢丹のクリスマスアートを手がけている。

Once Upon a Time in Wonder Christmas

他には、イッタラのタイカシリーズでも有名。





2009年 How To Make Wonder Christmas by ISETAN





2010年 Ring Ring Wonder Christmas by ISETAN



※2/12〜11/12はこちら→Ring Ring Wonder Christmas2/12〜11/12



2011年 White Wonder Christmas by ISETAN





2012年 Once Upon a Time In Wonder Christmas by ISETAN







No.008 カカポ 2012年12月13日 生態 トラックバック:0コメント:0

カカポ2


前記事で、ニュージーランドの巨鳥モアが登場する物語を紹介したところで、

そろそろ私が一目惚れした、同じくニュージーランドの固有鳥「カカポ」のことを記しておこうと思う。


カカポの魅力をどう語ろうか?

自分の拙い表現力では、魅力を伝え切れない。

そこで、ネットで検索したら、

すばらしく的確にカカポの魅了をあますところなく伝えていらっしゃる方が。

『カカポ募金』代表・内田泉さんです。

以下は、内田さんの文章の引用になります。



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


ネコのように遊び、ブタのように鼻を鳴らし、フクロウのように夜中に動き回り、

ウサギのように穴を掘って子育てし、人間の赤んぼうほどの大きさがあって、

フリージアの花の匂いがするへんてこないきもの。

これが、ニュージーランドで絶滅の危機にある飛べないオウム、カカポです。



カカポ(和名フクロウオウム)は、ニュージーランドの太古の森の住人です。

そのことをはっきりと教えてくれるのは、カカポの羽の色です。

カカポの羽は、日だまりの黄色、やわらかな芽吹きの黄緑、夏の空の下の眩しい緑、木陰の深い緑、

そして曲がりくねって伸びる枝の茶色と、

あらゆる森の色が微妙にブレンドされていて、実に美しいのです。

この羽はカカポの唯一の防衛手段でもあり、鳥たちは恐怖や不安を感じるとぴたっと動きを止め、

誰からも見つからないようにとひたすら願います。



幸いなことに、ニュージーランドの森には今は絶滅してしまった

巨大ワシの他にはたいした敵もいなかったので、

カカポはワシたちの寝ている安全な夜に活動することにして、

飛ぶこともやめてしまい、地上生活を続けました。

そのうちに足がどんどん太く丈夫になり、体には脂肪がついて寒い山の中の暮らしも平気になり、

現在では最高で体長60cm、体重4kgにも達するオウム類で世界一の重量級となりました。



カカポの変わっているところはそれだけではありません。

恋の季節になると、オスたちは特別のダンスを披露するのです。

カカポは、ふだんはオスもメスもナワバリを持ち、

単独で暮らしていて、他の鳥と出会うのを好みません。

しかし、繁殖期になると、カカポのオスたちは自分のナワバリを離れ、

10羽以上も山の上の方に集まってきて、自分の体がスポッとはまるくらいの浅い穴を掘ります。

そして、そこに一晩中座り込み、

胸のところにある空気袋を大きく膨らませて風船みたいにまん丸くなり、

お腹から空気袋に響くような音を出します。

これが「ブーン、ブーン」という音となって、穴の壁に反響し、

山の裾野まで何キロも渡って伝わっていきます。

これを聞きつけたメスが、とことこと山の上までやってくると、

いよいよオスたちのダンスコンクールがはじまります。

彼らはメスの気持ちを惹こうと、普段使わない美しい大きな羽を広げ、

片足ダンスをしたり、後ろ向きに歩いたり、枝をくわえたり放したりします。

メスは、気に入ったオスと短い契りを結び、

すぐに自分のナワバリに戻ってひとりで子育てをするのです。

しかし、「10羽以上も山の上に集まってきて…」と書きましたが、

実際には、これを見た人は誰もいません。

実は古い昔の文献の中でしか、お目にかかれない光景なのです。



ニュージーランドで本格的にカカポの保護がはじまったのが、1970年代のこと。

このころは、カカポが本当にまだ生き残っているのかどうかも分からず、

最後の砦であるフィヨルドランド地方の険しい山の中から

やっと10数羽の鳥が発見されたとき、その全てはオスでした。

つまり、この山の中のオスたちは、毎年、夏の繁殖期が来ると、

もう山にいなくなってしまっているメスを求めて、

夜ごとに「ブーン、ブーン」と呼び続けていたのです。



なぜ、そんなに数が減ってしまったのでしょうか。これは人間のせいなのです。



ポリネシアから船にのって人間がはじめてニュージーランドにやってきたのが、

1000年以上前のこと。

目の前には豊かな森が広がり、耳を覆いたくなるような鳥のコーラスが聞こえていました。

定住をはじめた彼らは、中でも巨大な鳥モアを狙い、

モアを燻り出すために広範囲の森に火をつけました。

大きくて美味しく、美しい羽を持つカカポも格好の獲物でした。

おまけにカカポは、夏になると「ブーン、ブーン」と鳴いて居場所を教えてくれるのですから。



今から200年ほど前になると、ヨーロッパから白人がやってきました。

ヨーロッパ人は一層の激しさで森を焼き払って牧場にし、

さらにネコやイタチ、ネズミ、オコジョなどの肉食動物を連れてきました。

住みかを失い、見たこともない天敵が現れたこの土地に、

のんびりした太古のリズムで生きていたカカポが生き残るのは、不可能に近いことだったのです。



幸いなことに、1980年代に入って、南島のさらに南に位置するスチュワート島にも

カカポが生き残っていることが分かり、メスも発見されました。

ニュージーランド自然保護省はネコやネズミのいない離れ小島に保護区を作り、

鳥たちをそこに放して管理していますが、いまでもカカポの総数は、

たった62羽にすぎません。(2012年現在では150羽程に増えています)



そこで、ニュージーランドを代表するこの魅力的な鳥たちの未来を救うために、

自然保護省は現在『カカポ絶滅救済計画(Kakapo Recovery Programme)』に取り組んでいます。

また、私は日本でこのことを知り、1990年にカカポ基金という小さな非営利団体を設立して、

有志から『カカポ絶滅救済計画』へ寄付を届ける仕事を続けています。

毎年の寄付金は5,000ドルから10,000ドルで、

これはカカポの人工孵化器の購入などに使われています。

昨年11月『カカポ絶滅救済計画』は、

より多くの人に保護活動について知っていただくことができるように、

ホームページを開設しました。(http://www.kakaporecovery.org.nz)

カカポの歴史から生態、保護活動の内容や最新情報など、

内容の充実したとてもきれいなホームページです。



これに対して、日本のカカポ基金は、自然保護省および王立森林鳥類保護協会と協議して、

このホームページを日本語化するボランティアプロジェクトを担当することになりました。

この日本語化プロジェクト『HonyakuKakapo』はメーリングリストを利用して行われ、

カカポ基金のスタッフばかりではなく、自然に興味のある人、翻訳勉強中の人、

インターネットを利用した共同作業に興味のある人など多くの人が参加しています。

まだ4月下旬にはじまったばかりなので、おそらく4~5ヶ月はかかると思います。

その間、どんなことをしているのか覗いてみたい方、

翻訳やIT技術の面で手伝ってくださる方がいらしたら、

いつからでも気軽に参加していただきたいと思っていますので、是非ご連絡ください。

担当者:内田(PXI12631@nifty.ne.jp)プロジェクトのホームページから参加することも可能です。
http://www.egroups.co.jp/group/HonyakuKakapo



6000万年の歴史の中で進化した鳥が、過去たった1000年の変化によって窮地に追いやられてしまう。

カカポは地球上の環境問題のほんの一例にすぎませんが、

多くのことを象徴している存在だと思います。

カカポの保護が成功し、それが他の土地、

特に日本のような島国にとっても大きな参考となることを、私は期待しています。



カカポ基金代表・『HonyakuKakapo』プロジェクト管理人
ライター・翻訳家 内田泉

KIAORA MAILニュージーランド掲載 2001.05.14




カカポ3





内田さんが上記の文章を書かれてから11年ほどが経ちました。

2001年に62羽しか残っていなかったカカポも、今ではその倍以上、150羽に増えるほどに。

懸命に保護活動をする方々には感謝の気持ちでいっぱです。

極力自然の状態の中で繁殖させようとするためのスタッフの努力は並々ならぬものとお察しします。

この先も、引き続き順調に繁殖が成功し、

たくさんのカカポが育っていくことを見守っていきたいと思います。






◆カカポギャラリー


◎カカポ―月の子ども うちだ いずみ (著)、さじ ちあき (イラスト)

ニュージーランドの深い深い森の奥に昔から住んでいた鳥、カカポ。
ユニークで愛嬌のある、飛ぶことを忘れてしまったオウムの一種。
美しいイラストでカカポの生態、悲劇的な歴史を紹介。
印税の一部はカカポを保護するための「カカポ基金」に提供されます。

月の子ども



◎Kakapo Rescue: Saving the World's Strangest Parrot (Scientists in the Field)

カカポ本2





◎カカポの鳴き声を聞くことができるサイト・・・New Zealand birds

前半は普通時の鳴き声、後半はボーンボーンという鳴き声が聞こえます。

カカポ5



カカポ4







No.007 ハンター 2012年12月12日 書籍 トラックバック:0コメント:0



今回は、ニュージーランドの児童文学「ハンター/ジョイ・カウリー」の紹介です。



マオリの奴隷少年ハンターには、見えないはずのものを見とおせるという、特別な能力があった。

主人たちとともに、フィヨルドランドの森で「幻の巨鳥モア」を追うなか、

ハンターは不思議な光景を見る。

青い目をしたフフ(白人)の少女が、月の光のように弱々しく・・・

その少女は、おそれおののいていた。

そして、スリリングで緊張感あふれる二つの世界の物語が始まります。



200年前(1805年当時):マオリの奴隷として育った少年ハンターと、

現代(2005年):マオリの血をひく少女ジョーダンの意識が、

彼女と弟2人を乗せた小型飛行機の墜落による遭難事故をきっかけにシンクロします。

1805年は明朝体、2005年はゴシック体の文字でそれぞれのドラマが交互に進行し、

遭難事故というショッキングな内容から、

子どもだけで大自然の中をいかに生き抜けるかというドラマに変わっていきます。

物語は、ニュージーランドの歴史やマオリの暮らし、独自の生態系など、

さまざまな事実に基づいて展開していきます。



今回のリレーキーワードは「幻の巨鳥モア」。

前記事「もうひとつの場所」の最初のページに出てくる絶滅した鳥です。

主人公のハンターが生きていた19世紀はじめごろは既にモアは絶滅していたと考えられていますが、

この物語の中では、最後の年老いたモアが一羽が生き残っていたという設定になっています。

その最後の一羽もあっけなくマオリの主人たちの手にかかってしまいますが、

その時のハンターの心の叫びが、せつなく、胸に響きます。



『この年老いた巨鳥モアは、自分の死が近いことを認識している。

森の神タネのもとで生きるものたちは、命について、人間よりはるかに多くのことを知っているのだ。

とくに自分の生命が尽きるときのことは、よくわかっている。』


『逃げろ、逃げろ!こんな死に方をしてはいけない。

山の中にもどって、自分の死を自分だけでむかえてくれ。』


『ここから去れ!自分らしく死ね。

人間におそわれ、血を流して死ぬのではなく、

おまえがそうしたいときに、自分で魂を解きはなつのだ。』



わずか数百年前まで、ニュージーランドに生息し、最強と言われた巨鳥モア。

人間が流入したことによって絶滅したモアの最期は、案外こんな感じだったのかもしれない・・・。



ハンター小


2006年「ニュージーランド・ポスト児童書及びヤングアダルト小説賞」年間最優秀図書賞受賞。




モア(Moa)〜Wikipediaより

ニュージーランドにかつて生息していた、ダチョウ目モア科に属する構成種の総称。
現在ではすべてが絶滅した。恐鳥とも言う。
哺乳類が生息していなかったニュージーランド島において、
6属10種以上に進化して独自の繁栄を遂げていた。
草食性で、天敵はハルパゴルニスワシ(ハーストイーグル)以外には存在していなかったが、
マオリ族のニュージーランドへの上陸後、生息地の森林の減少や乱獲により急速に生息数が減少した。
個体数激減の原因に、生息地への隕石の落下を指摘する説もある。
従来、最後の種は18世紀半ばまで生き残っていたと言われてきたが、
最近では16世紀以前にすべてが絶滅したとする見方が有力である。
最大の種では 3メートル近い体高に成長する最大の鳥類であった。
ダチョウやヒクイドリの様に脚力が発達し、飛ぶことはできない。





No.006 もうひとつの場所 2012年12月11日 書籍 トラックバック:0コメント:0



前記事で、サントリー愛鳥活動の紹介の中で、野生鳥類保護の話をしましたが、

今回は、時既に遅し、絶滅してしまった、絶滅危惧種の鳥、動植物、

その、絵本の紹介です。




もうひとつの場所 清川あさみ


地球でもっとも美しい、絶滅図鑑。

時空を越えて清川あさみが紡ぎだす、

かつてあったかもしれないもうひとつの場所 。

糸やビーズで織りなす、

動物、鳥、魚、恐竜、昆虫、草花・・・230種。

かつてどこかに生きていた、今もどこかに生きている、

強く儚い、動植物たちが集うファンタジア。





刺繍、ビーズで鳥、動植物を描く、絵本のような図鑑。

物語ではなく現実の話。

なぜ鳥、動植物が絶滅・絶滅危惧種になってしまったか・・・

絵だけでなく語りかけるような文章でも書かれており、

簡単な鳥、動植物の概要も掲載してあります。

全ての生物が調和のもとに命を次世代に紡いでいる地球という星。

わかってはいても日常生活において、生活圏外の「絶滅・絶滅危惧種」達のことは二の次です。

でも実のところ私達が贅沢をした結果、生態の均衡が崩れ始めた事は明らかで

非日常ではなく日常と密接に関わる問題なのが、

「絶滅・絶滅危惧種」達なのではないでしょうか。




もうひとつの場所2



もうひとつの場所1




モアの汽車ポッポ

かつてニュージーランドには、世界で一番大きな鳥がすんでいました。
頭までの高さ約3.6メートル、体重およそ25キロ。
「まぼろしの巨鳥」ともよばれたジャイアントモアは、
翼をもたない、空をとべない鳥です。
でも、足の速さだったら、誰にも負けません。
太くて、長くて、たくましい足で、大地を自由にかけまわっていました。
1000年ほど前まで、ニュージーランドは人のいない島でした。
ジャイアントモアが姿を消したのは、
人による狩猟がおもな原因だといわれています。
そして、ジャイアントモアがいなくなったことによって
天敵だったハーストイーグルもまたいなくなってしまったのです。



ドードー鳥とその仲間たち

『不思議の国のアリス』にも登場し、
アリスの濡れた服をかわかすために「堂々めぐり」のおいかけっこをするドードー。
この飛べない鳥は物語のなかだけの想像のいきものではなく、
じっさい17世紀の後半までインド洋のモーリシャス島にすんでいました。
英語のスラングで「のろま」を意味するドードーは
その名のとおり動作がともてのんびりしています。
しかも、人を恐れることもなかったので、
かんたんに捕まえることができました。
そのため、発見されてからわずか100年ほどで、
1羽もいなくなってしまったのです。



悲しきりょこうばと

リョコウバトは、その名のとおり渡りをするハトの仲間で、
雄はとても美しい羽を持っています。
全盛期にはアメリカにおよそ50億羽もいて、
世界でもっとも数の多い陸の野鳥といわれていました。
鳥類研究家のオーデュボンは1838年の日記に、
リョコウバトの群れが3日間途切れることなく飛び続け、
太陽もさえぎられ、空一面が暗くなったと記しています。
しかし、それから100年もたたないうちに。リョコウバトは絶滅しました。
あのとき、空を覆う無数の鳥の群れを目にした人びとは、
まさか1羽もいなくなってしまうとは
想像もしなかったことでしょう。



インコと花

この400年のあいだに、たくさんのインコが地球からいなくなりました。
カロライナインコは、北アメリカにすむ唯一の野生インコでした。
オレンジ色と黄色の頭に緑色の羽。
とても美しい鳥ですが、果物が大好きだったため果樹農家が被害にあい、
人による大量捕獲がはじまります。
カロライナインコは、シンシナティ動物園で飼育されていた
インカスとレディ・ジェーンというつがいでした。
まず、1917年の夏にレディ・ジェーンが亡くなり、
ほんとうにひとりぼっちになっていまったインカスも、
その翌年、後を追うように息をひきとりました。



冬の行進

「ニッポニアニッポン」という学名をもつトキは、
この国では古くから知られ、『日本書記』や『万葉集』にも
「桃花鳥」という名前で登場します。
日本人は古くからトキの肉を食べていましたが食肉が禁止されていた江戸時代には、
トキが増えすぎて困ったという記録も残っているそうです。
しかし、明治以降は肉や毛皮をとるために乱獲され、
急激にその数を減らしていきました。
もとから日本にいた野生のトキは、
2003年10月10日に死亡した「キン」を最後に、完全に姿を消しました。
しかし、中国から受け入れたトキは少しずつ数を増やし、
2008年には100羽を越えています。


火の鳥の夢

エメラルドグリーンに輝く背中、
深紅の胸、光の角度によってはターコイズブルーに見えたり、
頭頂が金色に輝き、世界一美しいといわれる鳥。
メキシコ南部からパナマ西部にかけて生息するケツァールは、
古代マヤ、アステカ時代には神の化身として崇拝されました。
たしかに、この鳥が輝く翼をひろげて飛翔する姿は、
「神々しい」という言葉がぴったりです。
グアテマラでは国鳥に指定され、通貨の単位にもなっているケツァールですが、
森林伐採によってその数は減りつづけ、
文字通り「幻の鳥」になりつつあります。
ちなみに、手塚治虫の漫画『火の鳥』は、この鳥がモデルになったといわれています。







清川あさみ

写真に刺繍を施すという独特な手法でアートディレクションから
造形作品の制作まで幅広く活躍中のアーティスト。
現在は様々な分野に活動の場を広げ多くの年齢層にファンを持つ。
2004年ベストデビュタント賞、2010年VOCA展入賞、
2011年水戸芸術館(全館規模の個展を開催する作家としては最年少)、
2012年表参道ヒルズにて「清川あさみ|美女採集」を開催。最多動員数を記録。





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